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今週半ばの小ネタ:筋トレで体内の抗酸化システムが改善、ジム以外でも運動しないとヤバいぞ、不眠を改善するならやっぱ日光が手軽


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

筋トレで体内の抗酸化システムが激しく改善するっぽいぞ

ビタミンD vs 筋トレ!体の抗酸化システムをアップグレードするのはどっちだ?」みたいなデータ(R)が出ておりました。なんかよくわからない比較のように感じられるかもですが、ビタミンDと筋トレはどっちも「体内の抗酸化システムを鍛えてくれる!」って話が昔からありまして、アンチエイジングに役立つと考えられてきたんですよ。

 

 

ってことで、この研究では、ビタミンD3のサプリと筋トレが酸化ストレスと抗酸化パワーにどんな影響をあたえるのかをチェックしてくれてます。具体的には、体内のビタミンDレベルが低い(約21ng/mL)若い男性40人を集めたうえで、

 

  1. ビタミンD3(50,000IU)を2週間に1回飲みつつ筋トレをする
  2. プラセボサプリを飲みながら筋トレをする
  3. 筋トレをしないでビタミンD3を飲む
  4. プラセボサプリを飲みながら筋トレをしない

 

って感じにしたんだそうな。ここで指示された筋トレは、メインの筋肉を対象にした一般的なメニューで、10〜15回×3〜4セットを週3回ずつ、8週間にわたって実施したそうな。

 

 

でもって、実験の前後に採血をしてみたら何がわかったかと言いますと、

 

  • とにかくメリットが大きかったのは筋トレをしたグループで、ビタミンDサプリを飲んだだけのグループよりも大きかった

  • 具体的には、筋トレをしたグループは、酸化ストレスが減り、体内の抗酸化物質が増え(SOD、GPX)、酸化の防止パワー(TAC)、の増加レベルは、いずれも筋トレだけ行ったグループの方が、ビタミンD3だけ補給したグループよりも大きかった

 

だったそうです。この研究を見る限り、シンプルな筋トレはビタミンDサプリよりかなり優秀みたいで、ガツンと体内の抗酸化システムを改善してくれるみたいっすね。近ごろは筋トレのメリットがいろいろ報告されてる気がしますけど、やっぱアンチエイジングに欠かせない要素なんでしょうなぁ。

 

 

 

トレーニングの効果を高めたいならジムの外でも活動すべし!みたいな話

ジムで運動したらあとは体を動かさない!みたいな方はそこそこいるかもしれませんが、「ジムの外でも体を動かさないと、せっかくの運動がもったいないことになるかもよ!」って話(R)が出ておりました。

 

 

こちらは肥満の中年(BMI=36.0±4. 8)を対象にしたテストで、全体を3つのグループに分けてます。

 

  1. なんのトレーニングもしない(対照群)

  2. 週に3〜4回の有酸素運動をする(1回あたり傾斜のあるトレッドミルで約40〜50分、平均心拍数125〜130拍/分)

  3. 上と同じ有酸素運動をしつつ、1日あたりの歩数を約3000歩ぐらい増やす(あくまで普通のウォーキング)

 

ってことで、「ただ運動をするだけ」と「運動+ゆるいウォーキング」をした場合の違いをチェックしたわけっすね。この実験の参加者は、みんな研究のスタート時には、1日の平均4,000〜5,000歩を歩いてたらしいんで、歩数を増やしたグループは1日の歩数を7,000〜8,000歩にしたことになりますな。

 

 

でもって実験は24週間ほど行われまして、最終的には以下の違いが出ました。

 

  • 有酸素運動をしたグループは、全般に対照群より良い結果が出ており、有酸素+ウォーキンググループはさらに良い結果が得られた

 

  • 具体的には、1日の歩数を増やした参加者は、有酸素運動だけをしたグループより体重が約2倍減り(まぁそこまで騒ぐレベルの数値でもないですが)、心肺機能が3倍向上した

 

ということで、血中バイオマーカーの結果とかにはかなりノイズが入ってるものの、全体的に見れば1日の歩数を増やしながら有酸素運動をしたグループの結果が最大だったらしい。

 

 


あくまで有酸素運動に特化したテストなので、「果たして筋トレでも同じ結果が得られるの?」とか「歩数をさらに増やしたら効果が上がるの?」みたいなとこは謎なんですけども、とにかく「有酸素運動をしていても、残りの時間が座ってばっかりだとメリットがえられづらいっぽいよ!」ってのは言えるでしょうね。お気をつけくださいー。

 

 

 

不眠症を改善するには”日光”がやっぱ一番手軽なんじゃない?説

睡眠と気分を改善するには、結局のところ外に出て自然光を浴びるのが最も簡単なのでは?みたいな話(R)が出ておりました。もともと日中に太陽の光を十分に浴びていない人はほど不眠症や鬱病になりやすいって話はあったんですけど、それなら日中に光を浴びる量を増やしたらどうなるかってのを調べたわけですね。

 

 

これは英国のバイオバンクプログラムに参加した40万人以上を調べた観察研究でして、まずは大きな結論をピックアップすると、

 

  • 毎日1時間ほど追加で外に出る人は、そうでない人より幸せを感じる確率が約50%高い(外出時間の平均は日中の2.5時間)
  • 外に出る時間が長い人ほど朝起きるのが楽で、不眠症の症状が少ない

 

みたいになります。1日に3.5時間ほど外で陽の光を浴びてる人は幸福度が高く、その晩の睡眠にも問題が起きないケースが多いんだそうな。

 

 

ちなみに研究チームいわく、

 

この研究では、日中に屋外の光を浴びる時間が長いほど、抑うつ症状の軽減、抗うつ薬の使用回数の低下、睡眠の質の改善、不眠症の症状の軽減が見られる傾向が確認された。これらの結果は、光が体内時計に与える影響と、光が脳内の気分中枢に与える直接的な影響によって説明できるかもしれない。

 

みんなへの一般的なアドバイスは簡単だ。太陽が出ているときはできるだけ光を浴びるようにし、日没後は暗くすればいい。それだけで、あなたの体はあなたに感謝するだろう。

 

ということで、確かに手軽な解決策でいいんすけど、私も締め切りが多いときはほぼ外出しないケースもあるので、これはなんとかせんと……。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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