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「男らしさはオワコンだしメンタルにも悪い!」それではどうすればいいのか?問題 パート1

 
 

近年は「男らしさはオワコンだ!」という風潮がありまして、アメリカ心理学会などもそこらへんを強調してたりします。なんでも、「弱みを見せない」だとか「恐れず勇敢に戦う」みたいな昔ながらのマッチョイズムに囚われてると、メンタルを病みがちになる傾向があるらしいんすよね。

 

 

その流れかどうかは知りませんが、最近はジェームズ・ボンドも家族を持ったし、イーストウッドも男らしさを再考する映画を作ったりして、「いろいろ変わったもんだなー」とか思うわけですが。

 

 

で、近ごろ読んだ本(R)も「男らしさ問題」について考えた一冊で、副題は「勇気と心のレジリエンスを高める新しい男性像 」みたいになってます。著者のアンドリュー・ライナーさんはタウソン大学の心理学者で、ずっと男性のアイデンティティ問題を調べてる人。

 

 

で、本書のテーマは「昔ながらの男らしさはヤバい!」って感じでして、すでに旧来の男らしさは社会的に受け入れていないのに、それでも多くの男性は、いまでも無意識のうちに役に立たない古いスクリプトにしがみついてるよねーって話です。たとえば、「男は助けを借りずにひとりでやるべきだ!」とか「恐怖や悲しみを表に出すべきではない!」みたいなやつですね。

 

 

が、こういった考えを持ち続けると、人間のメンタルは傷ついちゃう可能性が大。実際、世界的に見ても男性はメンタルがもろい傾向があって、

 

  • 男性の自殺率は女性の2倍以上である

  • 米国では過度の飲酒による死亡者の約4分の3が男性

 

  • 数千人のオーストラリア人を対象とした調査によると、「よく孤独を感じる」と答えた人の割合は女性の方が男性よりも多いのに、男性の方が社会的なサポートが欠けていた(「人が思うように訪ねてこない」などの記述に同意しているかどうかを基準にしている)

 

  • 複数の調査では、多くの男性が孤独感を経験しており、これが精神疾患や病気のリスク上昇と相関している

 

  • 多くの男性は、本当は自分が鬱病にかかっているのに、それに気づいていないというケースも多数報告されている。また、男性の鬱病が過小評価されているという証拠もある

 

みたいなデータが取り上げられておりました。これらの現象について著者は、「伝統的なマッチョイズムでは、『男は感情的な欲求から切り離されるべし!』みたいに教えられるんで、これがメンタルの悪化をもたらすんじゃない?」と想定しております。確かに自分の深い感情を見過ごしてたら、メンタルは改善しないでしょうからね。

 

 

ちなみに、「鬱病に気づいてない男性」の特徴としては、

 

  • 些細なことで、家族やパートナー、子供に強く当たってしまう
  • 大量の飲酒や高速運転など、危険な行動に走ることが増える

 

みたいなパターンにハマりがちなんだそうな。慢性的に辛い気持ちにとらわれいるから、ふとした瞬間に他人に爆発したり、酒で気持ちをまぎらわせようとするんでしょうな。これは辛い……。

 

 

でもって著者のリサーチによれば、現代の男性の多くが、メンタルの悪化に対してどんな対策を取っているかと言いますと、

 

  • なんらかの問題が起きた際、多くの男性は自分の友人と話すことが多いが、相手に打ち明ける問題は「批判や拒絶につながらない」ような問題に限定しているケースがほとんど

 

  • たいていの男は男友達からアドバイスや解決策をもらおうとし、女性の友人、ガールフレンド、母親、妻には語らないか、自分で解決しようとする

 

  • 男友達に深い問題を語らない理由を聞くと、たいていは「友人はそんなことを話したがらないだろう」と恐れていたり、自分の問題を誰かに負担させたくないと考えていた

 

  • 多くの男性は、自分を「冷静」に保つためにビールやスポーツなどを通じた仲間との絆を大切にしているが、より深い感情的な信頼関係や親密さを育むことができていなかった

 

といった傾向が見られたそうな。やはり現代の男性の多くは、自分の感情的なニーズを犠牲にしてでも「男らしさ」を維持することを優先しているのではないか、と。これは確かに疲れますなぁ。

 

 

ということで著者いわく、

 

私たちが生き残り成長していくためにも、自分自身や周囲の人たちのためにも、「男であること」の意味を再考する必要がある。これには、内なる筋肉と強さを伸ばすことや感情の回復力を高める行為がふくまれる。

 

男らしさを考え直すことは、多くの男性が恐れ、隠すように教えられてきた自分自身のより深い部分にアクセスし、それを統合する機会を与えてくれる。

 

と提唱しておられます。多くの男性は、自分の恐怖や恥みたいな感情から逃げまくってきたせいで自分の首を絞めてるし、そのせいで周囲の女性にも多大な迷惑をかけてきたんじゃないの?みたいな話ですね。まーそうっすよね。

 

 

ではどうすればいいのか?ってことで、まず博士がお薦めするのが、男性の友人と一緒に「伝統的な男らしさについて話し合ってみる」ってやり方。その際には、以下のような質問をしてみるといい感じです。

 

  • 伝統的な男らしさのうち、どのようなものは「維持」する価値があるか? その理由とはどのようなものか?
  • 伝統的な男らしさのうち、手放したほうがよさそうなものは何か? その理由とはどのようなものか?
  • 男性はどのようなことをオープンに話し合うべきか?
  • 伝統的な男性がやらなそうなことで、もっと男性が行うべきでことはなんだろうか?
  • 男性はどのような感情をもっとオープンにすべきか?

 

こういう議論を男性とすることで、自分が「ムダな男らしさにとらわれてないか?」ってのを確認していくわけですね。こういう議論をしたことがある人は少ないでしょうし、私もやってみたことないっすね。いざやってみたら楽しそうな気もしますが。

 

 

また、ここで著者は、「男らしさ」を再考するための具体的な手法をさらに取り上げてるんですが、長くなってきたので今回はこのへんで。ではまたー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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