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CBDを飲むと運動後の肉体回復やパフォーマンス改善がはかどるのでは?みたいな小規模実験の話

 
 

あいかわらずCBDが流行ってますが、こないだのメタ分析でも取り上げたとおり、いまんとこ海のものとも山のものともつかないのが現状。CBDそのものは高い抗炎症作用があったりして、おもしろい物質だとは思うんですが。

 

 

で、新しい研究(R)もCBDの話で、「運動のあとにCBDを使うと回復スピードが上がるのでは?」って疑問について調べてくれてます。 具体的にどういった実験かといいますと、

 

  1. 16名の健康な男女を集めて運動をしてもらう

  2. 細かい運動の内容は、1RMの70%の力でスクワット12回を3セットずつ行う(セット間の休憩は2.5分)。スクワットの後は、さらに45cmの箱から15回のドロップジャンプを3セット行う(セット間の休憩は1分)

  3. 運動後にCBD(60mg)またはプラセボを摂取してもらい、それから24時間、48時間、72時間のタイミングで血液検査を行い、さらに運動のパフォーマンスがどう変わったかをチェック

 

みたいになります。筋肉をガッツリ使うトレーニングをした後で、果たしてCBDはなんらかのメリットをもたらしてくれるのか?ってのを調べたわけっすな。

 

でもって、結果をまとめるとこんな感じです。

 

  • 72時間後には、CBDグループはプラセボよりも肉体のダメージを示す数値が低くなった(つまり、CBDは運動のダメージ回復に効果があるかもしれない)

 

  • 運動のパフォーマンステストでは、ジャンプの成績は特に違いがなかったが、72時間後に行われたスクワットのテストのみ、CBDを使ったグループの1RMがベースラインより1.3kg高くなったのに対し、プラセボグループでは2.0kg低いままでだった(p<0.05)

 

というわけでして、これを見るとCBDにそれなりの効果が出てそうですけど、くわしいデータを見ると結果にはかなりの個人差が出てまして、CBDを使ったせいでパフォーマンスが低下した人もいたりするのが難しいところっすね。うーん、判断しづらい……。

 

 

そんなわけで、なんとなくCBDを使ってみたい気もしてくる結果ですけど、ここで解釈がさらに難しくなるのは、

 

  • 同じ研究チームが以前に行った小規模なパイロット試験(R)では「CBDを摂取しても運動のパフォーマンスや肉体ダメージに有意な影響はなかった」と報告してる!

 

ってところですね。要するに、ほぼ同じ方法で同じサプリを使った実験をしたのに違う結果が出てるわけでして、どう考えたものか困っちゃうんですよ。どっちも実験の参加者が少ないので、こういった食い違いが出るのは当然かもしれませんが。

 

 

いずれにせよ、「まだCBDが運動の回復に効くと言えるだけの十分な証拠はない」ってのが現状ではあるんですが、「CBDが回復に役立つよー」って報告もいくつかあるのも事実ですので、気になる方はお試しいただくのもいいかもしれません。また、CBDによるその他のメリットが気になるという方は、2020年にシドニー大学の先生方がとても良いレビュー論文(R)を出してくれてますんで、こちらをご参照いただくのがおすすめです(英語ですが)。

 

 

ちなみに、私もCBDはいくつか試してみたんですけど、いまんとこ「よくわからんな……」ってのが正直なところです。特に気分的な変化が起きてる感じでもないし、睡眠に影響してるかどうかもよくわかんないんすよね(よほど睡眠不足な方ならいいのかもしれんですが)。個人的には、KOHHさんが歌ってるとおり「CBDを吸う。なんか落ち着く。そんな気がする」ぐらいの感覚でおります。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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