ピラミッドトレーニングの真実:効率的な筋肥大の秘訣ってどんな感じなの?
筋トレ好きなら一度は耳にしたことがあるのが「ピラミッドトレーニング」。一般的には「筋力と筋肥大の両方を効率的に高める!」などと言われることがありまして、「なんか良さそうだな……」と思っている人も多いはず。私もかつて積極的に試してみた時代がありました。
では、実際にピラミッドトレーニングの効果やいかに?ってことで、この手法の効果を検証した最新のレビュー研究(R)が出てましたんで、こいつをもとに「本当に効果があるのか?」を深掘りしてみましょうー。
そもそもピラミッドトレーニングとは?
では、本題に入る前に、まずはピラミッドトレーニングがどういうものかおさらいしておきましょう。このトレーニング法は、セットごとに重量や回数を調整して、多様な刺激を筋肉に与えるためにデザインされてまして、具体的には、以下のようなパターンがあります。
- クレッセントピラミッド
- 特徴:セットを重ねるごとに重量を増やし、回数を減らしていく形式。
- 例:50kg × 12回 → 60kg × 10回 → 70kg × 8回
- ディクレッセントピラミッド
- 特徴:セットを重ねるごとに重量を減らし、回数を増やす形式。
- 例:70kg × 8回 → 60kg × 10回 → 50kg × 12回
- ダブルピラミッド
- 特徴:クレッセントとディクレッセントを組み合わせた手法。
- 例:50kg × 12回 → 60kg × 10回 → 70kg × 8回 → 60kg × 10回 → 50kg × 12回
こんな感じで、セットごとに細かく負荷や回数を変えていくのが、ピラミッドトレーニングの基本。個人的には「負荷を細かく変えるのがめんどうだなー」って印象でしたが、これで筋トレの効果が出やすくなるなら良いですよね。
ピラミッドトレーニングの実力を見てみよう!
さて、今回チェックする文献はピラミッドトレーニングの効果を調査したナラティブレビューでして、2010年〜2021年の間に出版された研究15本を分析したものになります。このレビューでは、ピラミッドトレーニングの「短期的な影響」と「長期的な適応」の両面を調査してまして、実際の効果について大きな結論を出してくれてるんですな。
そこでどんな知見が得られたのかを、ざっくりまとめてみましょうー。
- 短期的な影響:ホルモンや筋損傷の反応については、普通の筋トレ法と変わらない。具体的には、トレーニング中に増加するテストステロンやコルチゾールなど、トレーニング直後に増えるクレアチンキナーゼなど、運動中に蓄積する乳酸などについては、ピラミッドトレーニングをしてもこれといったメリットは確認されなかった。要するに、「短期的な体の反応」という観点からすると、ピラミッドでも従来のトレーニング法でも、どちらも同じくらい筋肉に刺激を与えられると考えられる。
- 長期的な適応:8週間以上のトレーニングをやってみて、「長期的な適応」がどうなるのかを調べた場合でも、ピラミッドトレーニングと従来のトレーニング法の結果には目立った違いがなかった。具体的には、どちらも同じぐらい筋力が向上したし、どちらも同じぐらい筋肉の量が増えた。
ということで、このレビューを見る限り、どうやらピラミッドトレーニングをしてみても、従来のトレーニング法を大きく上回る効果があるわけじゃないんだよーって印象ですね。
トレーニング成功のカギは「総負荷量」と「限界への到達」
ってことで、このレビュー研究を見れば、「ピラミッドトレーニングが悪い方法ではないけれど、特別に優れているわけでもない」って結論になるしかない感じっすね。まぁ考えてみればそれもそのはずで、筋力や筋肥大において最も重要な要素は以下の3つに集約されますからね。
- トレーニングボリューム(総負荷量):全セットで扱う重量と回数の合計
- 負荷(重量):筋肉に適切な刺激を与えるための重量設定
- 限界への到達:セットを失敗(限界)付近まで追い込むこと
で、これらの条件をピラミッドトレーニングのほうが満たしやすいのかと言われれば、そんなこともないんですよね。逆に言えば、この3つの条件を満たせば、ピラミッドでも従来の方法でも十分に効果は出るのだと申せましょう。
とはいえ、個人的には、ピラミッドトレーニングには独自のメリットがあるよなーとも考えていたりします。具体的には、以下のような感じっすね。
- メリット1 刺激のバリエーションが増える:重量や回数が変わることで、筋肉への刺激に変化を持たせられるのが魅力。特に、ルーティンがマンネリ化してきた場合の「リフレッシュ」には最適じゃないかと。
- メリット2 短時間で複数の負荷領域をカバーできる:一つのトレーニングで高重量の低回数セットと低重量の高回数セットを組み込めるため、効率的に負荷を分散させることができそう。
- メリット3 初心者から上級者まで対応可能:ピラミッドトレーニングは、重量や回数を自由に調整できるため、経験に応じたプログラム作りがわりとやりやすい。
全体的には心理的なメリットが大きそうな印象はありまして、ここらへんに魅力を感じる方であれば試してみても良いのではないでしょうか。
ただし、一方ではいくつかの注意点もありまして、以下のポイントにはご注意いただきたいところです。
- 筋力重視には向かない場合がある:クレッセントピラミッドでは重量が徐々に増えるので、セットの終盤に疲労が蓄積し、純粋な筋力向上を狙ったトレーニングには不向きな場合がある。筋力を最大化したい場合は、高重量で固定されたセットを組む方が効率的でしょう。
- 総負荷量が減るリスク:負荷や回数の設定次第では、総トレーニングボリュームが減少してしまうこともある。そのため、ピラミッドを採用する際は総負荷量を意識的に調整する必要があるでしょう。
ってことで、いろいろ書いてきましたが、ピラミッドトレーニングに特別な効果はなさそうなので、あんまめんどうなことを考えたくない人は、トレーニングの基本原則である「適切な負荷」「総負荷量」「限界への到達」をしっかり守ることを心がけたほうが成果は出やすいはずであります。
その上で、「ルーティンに変化をつけたい」「楽しくトレーニングしたい」という希望がある人であれば、ピラミッドトレーニングは有力な選択肢となるんじゃないでしょうか。トレーニングは継続が命ですからね。どうぞよしなにー。