ストレスだらけの毎日をちょっとマシにする「2つの視点変換法」の話
「ストレスの中から“ポジティブな感情”を見つけ出そうぜ!」って研究(R)が面白かったんで、メモっておきましょう。
これはウェイクフォレスト大学などの研究で、「逆境の中でも心を立て直すための視点変換テクニック」を調べたものです。どんなに嫌なことの中にも、どこかには良いところがあることが多いから、そこに目を向けてどうにかメンタルをやりくりしようぜーみたいな考え方ですな。
研究チームは6つの実験を行って、だいたいこんな調査をしております。
- 参加者に、ストレスフルな文章やシナリオを読んでもらう
- 参加者に「この状況に、どのようなポジティブな側面が見つけられるか?」と質問
- 回答内容を分析し、「視点の転換」ができているかを評価
- その後の気分の変化(感情レベル)を測定
こんな感じで参加者を誘導して、みんなのストレスに改善が見られるかをチェックしたわけですな。
その結果、研究チームは「ストレスの中からポジティブ感情を生み出す方法」を2つに分類しております。
1. アップ・アプレイザル
まずは「ストレスの中にある良い面を抽出する」ってやり方です。たとえば、ある参加者は、コロナ禍での隔離生活をこう振り返ったそうな。
家族と一緒にビーチハウスで過ごすことができた。親や兄妹、いとこ、祖父母ともゆっくり会えたし、リラックスできた。
こんな感じで、「悪い状況の中から、意図的にポジティブな側面を拾い上げる」のがアップ・アプレイザルであります。
2. オルト・アプレイザル
こちらは、「もともとネガティブな意味づけをしていた状況を、ポジティブに再解釈する」やり方です。たとえば、別の参加者は、コロナで経済的に苦しくなった経験をこう語ったそうな。
買い物ができなくなったおかげで、モノに気を取られず、自分の考えや友人とのつながりに集中できるようになった。
つまり、「お金がないから好きなことができなくてつらい!」じゃなくて、「余計な欲から解放された!」と考え直したわけですな。なんだか負け惜しみみたいにも思えますが、ストレスが減ればなんだっていいわけです。
ってことで、この2つの手法はどちらもストレス対策に有効だと思われるわけですが、個人の“性格特性”によって効果の差がありそうなのが、ちょっと困ったところではあります。研究チームは、参加者の心理特性も調べてまして、だいたいこんな結論を出してるんですな。
- ポジティビティ傾向(人生を前向きに見る力)がある人ほど、アップ・アプレイザルが得意
- ネガティブ感情傾向(悲観的・落ち込みやすい傾向)がある人は、ストレスに意識を向けるほど気分が悪化しやすいので、そもそもどっちの方法も向いていない
- 混合感情受容性(ポジティブとネガティブが同時にある状態を受け入れられる人)がある人は、逆境の中でもポジティブな面を見つけるのがうまいので、どっちの方法も有効に使える
要するに、ポジティブな人ほど「いいとこ探し」が上手で、悲観的な人は「見たくない現実」に意識が引っ張られがちなので、「ストレスの中からポジティブ感情を生み出す」のが苦手ってことですな。というと、「そもそもネガティブだからストレスに弱いのに、対策法もうまく使えないんじゃ話にならないでしょ!」って気になるわけですが、幸いにも研究チームは、このような「視点変換力」はトレーニングで身につけられると述べておられます。
そのために何をやるかと言うと、まずは「ポジティブな感情は、ストレスの“まっただなか”でも存在できる!」って事実を、頭のどこかに置いておくのが第一歩。その上で、ストレスの中に「どこか良いところはないか?」を考えていくのが大事になるらしい。たとえば、
- 「通勤が長くてダルい!」→ 「スマホを置いて、ぼーっとする時間ができる!」「車内では考えごとに集中できて、アイデア出しにちょうどいい!」
- 「人間関係のトラブル!」→ 「あのイライラで、自分が何を大事にしているかがわかった!」「付き合う人を見直す良い機会になった!」
みたいな感じっすね。おそらく最初は「なんかウソくさい……」と思うでしょうが、これを何度もやるうちにレジリエンスが高まっていくはずですんで。
このような認知トレーニングを、具体的に日々の生活に取り入れたいなら、たとえば以下のような「視点変換ワーク」を1日1回やってみるだけでも、メンタルの状態はけっこう変わってくるんじゃないかと。
- 「今日あった嫌なこと」または「不安なこと」をひとつ書き出す
- その中に「ちょっとだけ良かったこと」を探してみる。または、「そもそもその出来事の意味」をポジティブに再構成してみる
めっちゃシンプルなトレーニングですが、普段の生活でストレスを味わってる最中に、アプレイザルをやるのって難しいですからねぇ。こういうトレーニングを普段からやっておくと、少しずつ「ネガティブな現実に引きずられにくい心」が育っていくはずであります。
いずれにせよ「意味を変えることで、気分が変わる」ってのは、今回だけでなく、過去の研究でも無数に示されてる事実。そんなマインドを、日常に1ミリだけでも取り入れてみると、意外なほどストレスに強くなるだろうと思うわけです。