「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」を読んだぞ
「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」をKindle本で読了。著者は「脳を鍛えるには運動しかない!」で有名なジョン・レイティ博士でして、その最新作は思いっきりパレオダイエットをオススメする一冊になっておりました。
本書の前提はシンプルで、「人間の体と心は文明の進歩に追いついていない!」というもの。そのせいで肥満や糖尿病といった「文明病」が起きるのだから、狩猟採集民のように暮らしてみたら?ってなわけで、当ブログでもおなじみのテーマが扱われております。
その具体的な処方せんとしては、
- 糖質を減らす
- 自然の中で運動する
- コミュニティとのつながりを深める
- よく眠る
などなど。なんとも当たり前な提案ではありますが、いずれも大量の科学データと著者の経験に裏打ちされてまして、パレオダイエットになじみのない方には、初めの一冊としてオススメできる内容かと思います。
なかでも良かったのは、後半のマインドフルネスに関する話。まず前提として、人間の遺伝子には「バイオフィリア(生物や自然への愛情)」が組み込まれてまして、自然のなかにいるだけで免疫が高まり、心身が健康になる傾向があるんだ、と。このへんの話は、「デスクに観葉植物を置くだけで15%も良いアイデアが浮かびやすくなる」なんて話もありましたし、非常に納得できるところです。
ところが、当然ながら、自然は人間のことを気づかってくれるわけがなく、そこでマインドフルネスが必要になるんだそうな。著者いわく、
自然の不規則さのために、わたしたちには「気づき」が必要となった。マインドフルネスを活性化させて周囲により注意を向けるようになれば、生活はよりよいものになる。
とのこと。人間は自然のことが大好きなのに、自然はまったく振り向いてくれないどころか、ときに人間に対して暴力すら振るうので、自然とマインドフルネスの能力が必要になったってわけですね。なんか切ない(笑)
さらに本書にいわく、
たいていの方は、瞑想の目的はリラクセーションや至福を得ることだと考えているようだが、それは間違っている。瞑想とは、 「今、ここ」に注意や意識を向けることであり、それはまさに野生の人々が自然環境で生き延びるために必要なことなのだ。
うーん、なるほど。パレオダイエットの本はいろいろありますが、マインドフルネスと結びつけたものは初めて読みました。
そんなわけで、とても楽しい一冊ではあるんですが、すべての章をとおして具体的なアドバイスにとぼしいので、実践的なTIPSを求める人には肩すかしかも。そもそも、本書の食事に対するスタンスは、
理想的な食事の原理原則は、この1,000年間に蓄積した文化的な知識に基づくものだ。わたしたち個々人には、そのすべてを把握することはできない。(中略)体の複雑で高度な欲求、とりわけ脳の要求を満たすためにわたしたちにできるのは、せいぜいバラエティ豊かなものを食べることだけだ。
というものなんですね。そのため、低糖質食をすすめる部分も、
糖を摂ってはならない、穀類のような高密度炭水化物やトランス脂肪酸も摂ってはならない、すなわち加工食品も摂ってはならない。
といった、非常にざっくりしたものになっております。こまかい食事の指針がほしい人は、他の本をあたるしかなさそうです。
というわけで、パレオダイエットの基本的な考え方や根拠を知りたい方には、とてもオススメできる一冊。前著「脳を鍛えるには運動しかない!」とあわせてどうぞ。