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結局、「味の素」は体に良いのか悪いのか?

Ajinomoto

「味の素」に関するご質問をいただきました。要点を抜粋しますと、

アレルギー持ちなので最近は食品添加物を気にして見るようになったのですが、うま味調味料(化学調味料)に関してはどうお考えですか?前から気になっているので、ネットなどで検索をするのですが、意見が真っ二つに分かれていて判断しづらい事になっています。食品の裏を見るとかなりの確率で入っているので、避けようか迷っています。

とのこと。確かに、「味の素」は昔から賛否の多い調味料でして、

  1. 基本的な成分はアミノ酸だから問題ない
  2. 頭痛や胸焼けを引き起こすので害がある

といった両極の意見があるようです。悩んじゃいますなぁ。
 

「味の素」の健康データ両極端 
では、まずは「味の素」の成分を見てみますと、

  • グルタミン酸ナトリウム 97.5%
  • イノシン酸・グアニル酸 2.5%

となってまして、ほぼグルタミン酸でできております。


グルタミン酸はかなり重要な栄養素でして、特に脳の神経伝達には必須。ブロッコリや醤油なんかに多くふくまれてまして、自然の食物にも普通に見られる成分であります。


というと安全性は高そうに見えますが、実際のデータは賛否両論でして、2013年のレビュー(1)によれば、「味の素は健康に良いってデータも悪くないってデータもあるんで、結局はよくわかりませんでした」との結論であります。科学界も悩んでるみたいですね。


「味の素」で悪影響が出る人もいなくはない
こういった状況が起きる理由は、どうやら人によって「味の素」への反応が大きく異るからみたいなんですね。過去の疫学データによりますと、確かにグルタミン酸で悪影響が出ちゃう人も数パーセントはいるっぽい(2,3,4)。「味の素」過敏症とでも言いましょうか。


その症状としては、

  • 偏頭痛(5,6)
  • 運動障害(7)
  • 自閉症(8)

などなど。もちろん自然の食品から得られるグルタミン酸は問題ないんですが、「味の素」は吸収率が高いもんで人によっては悪影響が出やすくなるわけですね。


「味の素」と肥満の問題
もう1つ、「味の素」に関して気になるのが肥満の問題。というもの、「味の素」のように脳への刺激が大きい成分は、体のセットポイントを混乱させる可能性が高いんですね。


具体的には、大量のグルタミン酸をあたえられたマウスが太っちゃった実験があったり(9)、「味の素」の消費量が多い地域ではメタボが多いってデータがあったりとか(10)。まだ確立した話ではないんですが、ちょっと気になるところではあります。


まとめ
 以上の話をまとめますと、

  1. なかには「味の素」の悪影響が出やすいもいる(ただし大半の人には問題ない)
  2. 「味の素」は脳のセットポイントを乱す可能性がある

といったところ。そんなわけで、基本的には、そこまでビビる必要はないんですが、「味の素」で異変が起きちゃう人は、できるだけ消費量を減らしたほうがいいかと思います。かく言うわたしも、「味の素」で胸焼けが起きちゃうタイプなんで、生まれつきグルタミン酸に向いてないんだろうなー、と。


credit: Richard Masoner / Cyclelicious via FindCC
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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