速い筋トレと遅い筋トレ、筋肉がつきやすいのはどっち?
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筋トレの世界には、「ウェイトは2秒で上げて4秒で下ろす!」って定番のアドバイスがあります。ゆっくり動いたほうが筋肉が発達するって説で、たぶんジムのマシンにもよく書いてあるはず。
ところが、ここ数年は「できるだけ速く動いたほうが筋肉は増える!」って説もあったりして、ちょっと困ってしまうところです。では、実際はどっちが正しいのか、ちょっと考えてみましょう。
筋トレのスピードを変えても統計的な差はでなかった
まず参考にしたいのが、1993年に行われた有名な実験(1)。18人の参加者を以下の2グループにわけて、週3の筋トレをしてもらったんですね。参加者の年齢は19〜23才で、全員が筋トレ初心者であります。
- 速い筋トレ:できるだけ加速をつけてバーベルスクワット
- 遅い筋トレ:できるだけ加速をつけないようにバーベルスクワット
すると、7週間後の結果は、
- 筋肉量の変化:速い筋トレグループは24%増加、遅い筋トレグループは21%増加
- 筋力の変化:速い筋トレグループは21%増加、遅い筋トレグループは23%増加
といった感じ。微妙な違いあるものの、統計的には差がない数字です。
筋トレのスピードは効果に関係ないというデータはたくさんある
もう1つおもしろいのが、2005年にシドニー大学が行った実験(2)。115人の参加者たちを以下の2グループにわけて、週3の筋トレをしてもらったんですね。こちらも全員が筋トレ初心者であります。
- 速い筋トレ:ウェイトを1秒で上げて1秒で下げるダンベルカール
- 遅い筋トレ:ウェイトを3秒で上げて3秒で下げるダンベルカール
その結果は以下のとおり。これは筋力の増加をあらわしたグラフで、3セットを行った場合は、どちらのグループも同じぐらい筋トレの効果が出ております。
ほかにも似た研究はいろいろとありまして、
- 36人の参加者に全身の筋トレをを13週間つづけてもらったが、筋トレのスピードを変えても筋肉量・筋力ともに差が出なかった(2008年,3)
- 69〜76才の高齢者を対象にした実験では、全員の10週間の筋トレをしてもらったが、やはり筋トレのスピードは筋力に影響がなかった(2009年,4)
などなど。いずれも筋トレのスピードは無関係との結論であります。
まとめ
そんなわけで、ざっくりとデータを見てみると、ウェイトを速く動かそうが遅く動かそうが、長期的な筋肉の発達とは関係なさそう。大事なのはスピードではなく、ちゃんと筋肉を疲れさせたかどうかなんで、自分が好きな速度でウェイトを動かせばよいかと思います。
credit: Marco Crupi Visual Artist via FindCC