30分の運動も60分の運動もダイエット効果は変わらない
「30分の運動によるダイエット効果は60分の運動と同じ!」って論文がおもしろかったです。
これはコペンハーゲン大学の実験(1)で、肥満の男女64名を対象にしたもの(体脂肪率は25%以上)。全員を以下のグループにわけて、週3のエクササイズをしてもらったんですね。
- 有酸素運動を1日60分(消費カロリーは1日約600kcal)
- 有酸素運動を1日30分(消費カロリーは1日約300kcal)
単純に1日あたりの消費カロリーに2倍の差がついております。どちらのグループも、運動の強度は最大心拍数の70%。維持カロリーをキープするように、食事もコントロールしたらしい。
そして13週間後の結果は、以下のようになりました。
- 30分グループは体重が3.6kg減った
- 60分グループは体重が2.7kg減った
- どちらのグループも、体脂肪は4kg減った
両グループが消費したカロリーの差は約27,000kcalもあるのに、体脂肪の減り方はほぼ同じだったわけです。なんとも衝撃的な結果ですねぇ。
研究者いわく、
かつて肥満の女性を対象に行われた研究でも、有酸素運動の量を増やすほど減量の効果が低くなっていく現象が報告されている。
今回の実験でも、過去のデータと似た結果が出た。エクササイズによる消費カロリーには限界があり、運動量を増やすほど痩せていくというわけではないのだ。
ただし、この限界量には大きな個人差がある。性別や運動の種類によっても効果は異なる。
とのこと。どうやら運動の効果には天井があるみたいですね。
といっても、27,000kcalもの差を代謝の変化だけで説明できるはずがないので、研究者は「30分だけ運動した人はNEATが増えるんじゃない?」と推測しております。
NEATは「普通に暮らしてて消費されるカロリー」のことでして、無理せずスリムな体型をキープするには必須の考えかた。くわしくは「痩せたいならまずは「NEAT」を増やす!」をご覧ください。
要するに、
- 1日60分の運動→疲れてやる気がなくなっちゃう→もう体を動かさない!
- 1日30分の運動→やる気が残っている→その後の時間も積極的に活動する!
って違いが出るわけです。1日30分の運動はNEATを高めるため、逆に消費カロリーの合計は大きくなるんだ、と。
というわけで体脂肪率が多い方が運動をするなら、1日に60分も体を動かさないほうがよさそう。30分あたりを目安に、ジワジワとやってくほうがよさそうです。