痛み止めを長く使い続けると逆に慢性痛が起きちゃうかもしれないぞ!という怖い話
https://yuchrszk.blogspot.com/2016/06/blog-post_5.html
「痛み止めで逆に痛みが増すかもしれないぞ!」って論文(1)が出てたんでシェアしときます。
これはコロラド大の実験で、神経に傷をつけたマウスに、オピオイド系の鎮痛薬を使ってみたんだそうな。すると、鎮痛薬を使ったマウスは痛みが消えるまで8週間かかったのに対し、鎮痛薬を使わなかったマウスは4週間で完全に復活したんだそうんな。2倍の差が出てますね。
こういった現象が起きるのは、どうも鎮痛薬が脳の神経に炎症を起こしちゃうかららしい。具体的な流れを説明すると、
- 鎮痛薬で痛みがおさまる
- しかし、脳の免疫システムが鎮痛薬の成分を「敵だ!」と誤認
- 免疫系が炎症成分を出して鎮痛薬を攻撃
- 神経に炎症が発生
- 痛みが長引く!
って仕組みになってるみたい。フードアレルギーなんかと似た流れですね。
研究者いわく、
鎮痛薬を使っている人にとって、このデータは非常に関係性が高い。痛みを止めるために薬を短期間使っただけでも、痛みが増加し、しかもそれが長期間にわたって続く可能性があるからだ。
これは、これまで気づかれていなかった、痛み止めの暗黒面だ。(中略)近年になって痛み止めの利用が激増しているが、これが慢性痛の流行に関係しているかもしれない。
とのこと。あくまでこれは動物実験ですが、ヒトの痛みのシステムはマウスによく似てまして、人間でも同じ現象が起きる可能性は大きそうであります。
日本で使えるオピオイド系の鎮痛薬といいますと、
- コデイン(ブロン液とか)
- アセトアミノフェン(タイレノールとかセデスとかノーシンとかラックルとか)
- オキシコドン
- フェンタニル(デュロテップパッチとか)
- モルヒネ
あたりが有名なところ。下の3つは気軽に手に入りませんが、アセトアミノフェンとコデインなんかは市販薬でもメジャーですねぇ。
ここで難しいのは、痛み止めの依存性でしょう。痛みが止まることで一時的な幸福感が生まれて、この気持ちよさにハマっちゃう人は意外と多いんですよ。たまに「痛み止めで元気になった!」なんてことを言う方もいらっしゃるんですが、後々で逆に痛みが増しちゃう可能性もありますんで、くれぐれもご注意ください。