善玉コレステロールの性能をアップさせる3つのテクニック
HDLコレステロールの質を上げるには?
「善玉コレステロールが多けりゃいいってわけでもない!」って話の続きです。
ざっくりおさらいすると、一般的には善玉コレステロールと呼ばれる「HDL」ですが、血中の量が多くても健康にいいわけではなく、逆に早死にのリスクが高まるってデータが多め。その理由はHDLが変化しやすい性質を持っているからで、最悪の場合、善玉コレステロールのせいで老化が進むこともあり得るって話でした。
そんなわけで、HDLコレステロールは量より質にこだわるのが大事。ただし現時点では、手軽にコレステロールの質を計る方法がないんで、日ごろからHDLが劣化しないように気を配っておくといい感じ。
といっても、いまんとこ「これをやれば確実にHDLの質が上がる!」と断言できるテクはないんで、ここでは可能性が高そうなものに絞って紹介します。
HDLの性能を高める3つのポイント
1.エクササイズ
エクササイズが体にいいのは常識ですが、どうも近年では「HDLの性能を上げてくれるんじゃない?」ってデータも多いんですよ。
代表的なのは2013年の実験(1)で、90人の若い男性を対象にしたもの。みんなのHDLコレステロール値を計ったうえで、日ごろのエクササイズ習慣とくらべたところ、
- 普段から運動をしている人は、HDLが悪玉コレステロールを回収してくれるのはもちろん、抗酸化ダメージをやわらげる効果もあった
- 特に週4のペースで筋トレをやっていた人は、なにも運動しない人にくらべてかなりHDLの性能がよかった
って違いがハッキリ出たんですね。HDLの機能が全開になった場合は、抗酸化パワーまで発揮してくれるわけですね。すばらしい。
ちなみに、この現象は、BMIの数値とは関係なく確認されたとのこと。太った人でも、エクササイズをすればHDLの機能はアップしそうであります。
2.オリーブオイル
オリーブオイルをよく使う人ほど、心疾患にかかりにくいのは有名な話。このメリットは、おもにオリーブオイルの脂肪酸のおかげだ考えられてきたんですけど、2014年に「ポリフェノールせいじゃないの?」って論文が出まして(2)。
これは47人の男女を対象にした実験で、全員に1日25 mLのオリーブオイルを飲んでもらったんですね。その際に参加者に2種類のオイルを渡しまして、
- ポリフェノールが多めのオイルを飲む
- ポリフェノールが少なめのオイルを飲む
って感じで3週間ずつ過ごしてもらったらしい。その結果がなかなかおもしろくて、
- 参加者たちのHDLコレステロールは増えていなかった
- しかし、ポリフェノールが豊富なオイルを飲んだ場合は、HDLの機能が上がった
って成果が得られたんだそうな。どうやらオリーブオイルのポリフェノールがリポタンパク質と結びついて、HDLを酸化ダメージから守ってくれるみたい。
以前にも「オリーブオイルで炒めた野菜は抗酸化力が上がる」って話がありましたが、この現象はコレステロールにも当てはまるんですねぇ。すごい。
ちなみに、HDLの機能アップを狙うならエキストラヴァージンオリーブオイルがベストですけども、市販品にはニセモノも多いんで、くれぐれもご注意ください。
3.トマト
心疾患のリスクを下げる食材といえば、トマトも代表的な例のひとつ。トマトにふくまれるリコピンって抗酸化物質のおかげだと考えられております。
リコピンとHDLの関係については2013年の論文(3)が有名どころ。54人の男女を対象にした実験で、
- リコピンを週に10mg以下だけ摂る
- リコピンを週に224-350mgだけ摂る
- リコピンサプリを週に70mgだけ飲む
といった3グループにわけたんですね。その結果は明快で、
- リコピンを飲めば飲むほどHDLの機能は上がる!
って感じ。トマトじゃなくてもHDLの機能アップは確認されたそうなんで、ナス科野菜でアレルギーが出ちゃう人は、サプリを試すのもいいかもしれませんね。
まとめ
というわけで、HDLコレステロールの性能をアップさせるのに効きそうな3つのポイントでした。これだけオリーブオイルとトマトがいいんだから、地中海式ダイエットで心疾患リスクが激減するのも納得ですねぇ。
ちなみに、どの実験を見ても思うのは、「やる気を出したHDLのアンチエイジング効果は凄そう…」ってことですね。かなりナイスな抗酸化&抗炎症機能を持ってるようなんで、アンチエイジングを志す方は、ぜひHDLの質にも気を配ってみてください。