お金のストレスはどこまで体に悪いのか?問題
お金の心配は健康に甚大な影響をもたらす
2015年に読んだ「いつも『時間がない』あなたに」は、「『何かが足りない!』と感じると人間はバカになる」って事実をデータで示したおもしろい一冊でありました。
簡単に言うと、「金がない!」とか「時間がない!」といった欠乏状態になると、人間は脳の処理能力が大きく低下。その結果として忍耐力が働かなくなり、貯金額がさらに下がっちゃうというんですな。自分を振り返っても共感しやすい現象であります。
そのなかでも、もっともよろしくないのが「お金のストレス」。お金がなくて悩んでる人ほど見た目が老けていく傾向がありまして、どうも経済的なストレスは健康にも悪影響がデカいみたいなんですよ。
金がないと肥満になったり睡眠の質が下がったり
ってことで、その後も「貧乏のストレス」が体に与える悪影響がいろいろと出てますんで、ここにまとめておきます。
1.金がないと肥満に?
ひとつめはミネソタ大学の研究(1)で、3206人の学生を調べたもの。みんなにアンケートを取って、それぞれの体重、運動量、食事、ストレス、クレジットカードの使用量なんかをチェックしたところ、
- 借金が11万円を超えている人ほど肥満が多く、ファストフード、運動不足、テレビの視聴時間などがいずれも多い傾向があった
って結果だったそうな。もちろん、これは「借金のストレスで肥満になる」のではなくて、「肥満になるようなダラしない生活をしてるような人は肥満になる」ってだけの可能性も大なんで、そこはご注意ください。
また、2009年に1355人の男女を調べたデータでも、「支払いができない!」 ってストレスを抱えた人ほど、そこから数年後に体重が増加していくケースが多いみたい。こちらは、お金のストレスでセルフコントロール能力が下がり、お菓子やジャンクフードの消費量が増加するのが原因だと考えられております。
ストレスが過食につながるってのはよくある話なんで、やっぱ「借金が肥満の引き金になる」って考え方は十分にできそう。
2.金がないとタバコと酒にハマりがち?
もうひとつはニューヨーク大学の研究で、2,352人の高齢者が対象。こちらも全員のライフスタイルを調べたところ、
- 収入が減るごとに飲酒とタバコの量が増加!(1.3倍)
だったとか。こちらも観察研究なので注意点は上記と同じですが、「いつも『時間がない』あなたに」の知見とくらべると、やっぱ「お金のストレスで目先の欲望に弱くなるのかねぇ……」とか思っちゃうわけです。
ちなみに2009年の研究(3)でも、「借金が多い人ほど禁煙できない傾向がある」って結果が出てまして、やっぱりお金のストレスが脳の処理能力を下げてる可能性は高そう。金がないのにタバコを吸ってさらに貧しくなり、貧しくなったストレスでさらに喫煙量が上がる、みたいな。
3.金がないと睡眠不足に?
さらに2008年にピッツバーグ大学が行った研究(4)では、75人の高齢者を対象に全員の経済状況を調べたうえで、ポリグラフで睡眠の質を計測したそうな。
その結果は予想どおりで、経済的なストレスと睡眠の質の低下はキレイにリンクしてたんですな。さらに2009年に368人を対象にした追試(5)でも結果は同じで、脳波計でチェックした睡眠の質は、睡眠不足と相関してたとのこと。まぁデータで確認するまでもなく、金の心配があったら眠れなくなるのはわかりますが。
まとめ
そんなわけで、金の心配があるだけで死に近づく可能性は激増しますんで、ぜひ対処しときたいところ。もちろん借金がある場合は頑張って返すしか手がないわけですが、 上記のデータを見てますと、
- 他人と自分の収入を比較しない
- 自分が暮らせる最低のコストを算出しておく
って2点を徹底するだけでも、お金に関するストレスは激減しそうであります。特に「暮らしの最低コスト」の算出は、「あー、意外と収入が減っても暮らせるんだな」ってのがわかって精神の安定に良いかと思われます。どうぞよしなに。