勉強にもメンタルにも効く「ソクラテス式問答」の7パターン
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やはりソクラテスは偉かった
ここんとこ、「ソクラテス式問答」に関する本を読んでおりました。ソクラテス式問答ってのは、その名のとおりギリシャの哲学者が考案した問題解決のテクニックで、「良い質問を使って会話するほど良いアイデアが生まれる!」って発想にもとづいてたりします。
Katarzyna Peoples,Adam Drozdek Routledge 2017-09-27
その効果は広く認められてて、たとえばミシガン大学がロジカルな問題解決の方法として勧めてたり(1)、大企業の社員研修に使われてたりとか。さらに、近年では「鬱病にも効くんじゃない?」って知見が溜まってきて、普通にカウンセリングにも採用されてるんですな。さすが古代の哲学者はエライもんです。
ソクラテス式問答で使う7パターンの質問
では、具体的に「ソクラテス式問答」 がどんなもんかというと、おもに7タイプの質問で構成されております。1.明確化の質問
- ◯◯◯とはどのような意味ですか?
- 別の方法で説明するとどうなりますか?
- メインの問題はなんだと思いますか?
- 何か具体的な例をあげられますか?
- そのポイントをさらに広げることはできますか?
2.初期設定の質問
- この問題はなぜ重要なのですか?
- この問題を解決するのは簡単ですか?難しいですか?
- なぜそのように思ったのですか?
- この問題の前提はなんでしょうか?
- この問題は、何か他の重要な問題と関係がありますか?
3.仮定の質問
- ◯◯◯で仮定されていることはなんでしょうか?
- いまの答えの代わりにどんなことを仮定できますか?
- あなたは◯◯◯を前提にしているようですが、合っていますか?
- 私はあなたの意見を正しく理解できていますか?
4.エビデンスの質問
- 実例にはなにがありますか?
- ◯◯◯を事実と考えた理由はなんですか?
- ほかに必要な情報はありませんか?
- ◯◯◯の理由を教えてくれませんか?
- どのような理屈でこの結論にいたったのですか?
- 証拠が本当かどうかを疑う理由はありますか?
- その信念を持つにいたった理由はなんですか?
5.ソース・起源の質問
- それはあなたのアイデアですか?それともどこかで聞いたことですか?
- いつもそのような考えが浮かびますか?
- あなたの意見は、他の人や事に左右されたものですか?
- どこでそのアイデアを思いついたのですか?
- そのように感じた原因はなんですか?
6.影響・結果の質問
- ◯◯◯でどんな効果があると思いますか?
- ◯◯◯が起こる確率はどれぐらいでしょうか?
- ◯◯◯の代わりになるものはありますか?
- ◯◯◯にはどんな意味がありますか?
- もし◯◯◯が起こった場合、ほかにどんなことが起きるでしょうか?
7.視点の質問
- 他のグループの人たちは、この問題にどう反応すると思いますか?それはなぜですか?
- ◯◯◯さんの反論に対して、あなたはどう答えますか?
- ◯◯◯を信じている人は、あなたの意見についてどう思うでしょうか?
- なにか代わりの意見はありますか?
- ◯◯◯と◯◯◯のアイデアはどこが似ていますか?またはどこが違いますか?
といった感じで、いろんな方向から質問を重ねていくのがミソ。基本的には他人との会話で使うテクニックなんですけど、前にも書いたとおり、自問自答でも十分に効果があるのが「ソクラテス式問答」の凄いところであります。
メンタルを癒やすソクラテス式問答の事例
といってもわかりにくいかもなんで、一例として「俺はダメだ!」と思ってる人に対するソクラテス式問答は、以下のような感じ。- 僕は毎日失敗ばかりしているんです。
- それは、落ち込んだような感情?(明確化)
- そう。もうダメダメ。
- 「ダメ」というのは、何もかも上手くいかないということ?(明確化)
- なにもかもです。
- 例えば、あなたの子供についてはどうですか?(仮定)子供の世話もしなかった?(エビデンス)
- いいえ。子供が寝るのを手伝って、サッカーの練習に付き合いました。
- それは、子供たちにとって重要なことでは?(影響・結果、視点)
- そうだと思います。
- 奥さんはどうですか?今週は何か彼女が喜んだことは?(エビデンス)
- 僕が時間通りに帰宅したのを喜んでくれました。
- 「奥さんが喜んだ」という事実は、「何もかもダメ」に入りますか?(初期設定)
- 違いますね。
- ということは、あなたが「何もかもダメ」というのは正しい表現でしょうか?(明確化)
- いいえ。
ここでもっとも大事なのは、あくまで聞き手は質問しかしないってとこ。いきなり相手に「子供の世話もしてるじゃない!」とか言われたら「そんなことはない!」と反発したくなるもんですが、「ソクラテス式問答」は自然と相手に気づかせていくプロセスをふむので、事実を受け入れてもらえやすくなるんですよ。
といっても、慣れないうちは7つのパターンを使いこなすのは難しいんで、もし自分の不安やメンタルの悪化に使いたいときは、おもに4番の「エビデンスの質問」を中心に自問自答してみると良いかと思います。「自分は最低だ…」みたいな気分になったら、「どのような理屈でこの結論にいたったのですか?」「その理屈を支持する証拠は?」とか、もうひとりの自分に質問してもらうイメージっすね。
ちなみに、かくいう私も「ソクラテス式問答」は使いこなせてませんで、いまも他人との会話で何となく練習してたりします。結構、いつもの会話が思わぬ方向に転がったりして面白いので、対人コミュニケーションのスパイスとしてもお使いください。