筋トレの効率を最大にするには、どこまでバーベルを動かせばいいのか?問題
筋トレははフルレンジかパーシャルか
筋トレの動きに関するご質問をいただきました。
ジムで筋トレをしていると、フルレンジでやるようにとよく言われます。自分は腕が短いので、ベンチプレスなどはうまくフルで行けないことがあるのですが、やはりフルレンジを意識したほうがトレーニングの効果は出やすいのでしょうか。
とのこと。フルレンジってのは関節が動く範囲をすべて使って筋トレをすること。たとえばダンベルカールなら、完全に腕を伸ばしきった状態から、目の前まで重りを上げていく感じ。以下のようなイメージっすね。
他にも、ベンチプレスならバーベルを胸に着くまで下げてからヒジを伸ばし、スクワットなら完全にしゃがんだ状態から立ち上がるのがフルレンジであります。いっぽうで、関節を途中に動かしきらない筋トレはパーシャルと呼ばれたり。
フルレンジとパーシャルを比べた実験は?
で、たいていのジムでは「フルレンジで!」と言われるはず。そっちのほうが筋肉を追い込めるので、トレーニングの効果が出やすいと言われてるんですね。といっても、フルレンジよりパーシャルのほうが精神的な負担が軽いんで、「できれば楽なほうで…」と思うのが人情でありましょう。
さて、結論から言っちゃえば「ケガとかしてない限りフルレンジで!」って感じです。なにせ、ほとんどのデータでは「フルレンジのほうが筋肉がつくよ!」って結論なもんですから(多少の例外もある)。
有名なのは2014年の実験(1)で、参加者に同じメニューの筋トレをしてもらったもの。具体的には、
- スクワット
- ニーエクステンション
- ブルガリアンスクワット
- レッグプレス
- ランジ
を日替わりで週3ずつやってもらったらしい。すべて足のトレーニングにしたわけですね。それぞれのエクササイズは1セット10回で、それを3セットずつ行ったみたい(セット間の休憩は60〜90秒)。バーベルの負荷は1RMの80%に設定したらしい。
その際に全体を2つのグループにわけまして、
- ヒザを50度まで曲げる(パーシャル)
- ヒザを90度まで曲げる(フルレンジ)
って感じで、関節の動きによってどんな違いが出るかを見たんだそうな。
すべてにおいてフルレンジが圧勝した
実験期間は8週間で、続く4週間は完全にトレーニングをオフに。そのうえで筋肉のサイズ、筋力、体脂肪をチェックしたところ、結果はフルレンジの圧勝であります。具体的には、
- フルレンジグループは8週間の時点で筋肉量が23±5%増加(パーシャルは10±2%)
- トレーニングを止めた後の筋肉の減少も、フルレンジグループのほうが少なかった(16±4% vs. 2±2%)
- 体脂肪の減少もフルレンジの勝ち(-7±3% vs. 9±1%)
- 筋力の増加もフルレンジの勝ち
ってところでして、やはり筋トレはフルレンジでやるに越したことはないかなーという感じ。
最終的には目的によって使い分けたい
といっても、パーシャルにも「フルレンジより重い負荷を持ち上げられる」ってメリットはありますんで、わたしの場合は、
- とりあえずフルレンジで限界までやる
- そこからパーシャルに切り替えて、さらに回数を増やす
って使い方をしております。筋トレは負荷が大事なのはもちろん、全体のボリュームを上げるのも非常に重要なんで、目的に合わせて使うのがいいのではないかと。まぁそのへんが面倒な方は「とりあえずフルレンジで!」を意識しとくのがいいのかもしれませんな。