なぜ「復讐」は長期的にみたら割に合わないのか?
復讐心は役に立つのか?
「目には目を」などと申しますが、「復讐ってメンタル的には逆効果だよ!」って研究(1)が出ておりました。
これはバージニア・コモンウェルス大学の実験で、トータル1,516人の男女に6パターンの研究を行っております。
だいたいどんな実験だったかというと、
- 最初に参加者にヒドい目に遭わせる
- ヒドい目に遭わせたヤツに復讐をさせる、または何もしないグループにわける
- 復讐をしたグループのメンタルがどう変わったかをチェック
みたいな感じです。たとえば、ひとつめの実験では参加者にエッセイを書いてもらったあとで、その内容を研究者がボロクソにこきおろしたんだそうな(人生で読んだなかでも最低の文章だ!みたいな)。
復讐すると長期的にはメンタルが悪化する
その後、ボロクソに言われた参加者には、「エッセイをけなした研究者に見立てたブードゥー人形」が渡されて、呪いの釘を打ち込むかどうかを選ばせたらしい。なかなか独自性が強い実験ですな。
また別の実験では、参加者にテレビゲームをプレイしてもらいまして、その際に他のプレーヤーからわざと無視されるように設定。無視をくらった参加者は、自分を否定した相手のヘッドホンのボリュームを最高レベルまで上げるかどうかを選ばせたんだそうな。
さて、これで何がわかったかというと、
- ほぼすべての参加者が「復讐すれば良い気分になるだろう」と考えていた
- が、実際は復讐の直後こそ気分の改善が見られたものの、しばらくすると以前よりメンタルが悪化してしまった
だったそうな。研究者いわく、
復讐は一瞬だけ良い気分をもたらす。しかし、参加者を5分後、10分後、45分後の3ポイントでフォローアップしたところ、復讐をする前よりも気分が低下していることがわかった。
ってことで、多くの人が思うほど復讐には効果がないみたい。なんかわかりますな。
復讐は「反芻思考」につながってしまう
では、なぜ復讐が逆効果になっちゃうかというと、
- 復讐について考えることで、相手から受けた被害の記憶が鮮明になる
- いったん思い出した記憶は、心の中で成長していくから
といったメカニズムが働くかららしい。当ブログでは「鬱の原因は反芻思考だ!」と何度か書いてますけども、まさに復讐が嫌な記憶の反芻になっちゃうわけっすな。これはわかるなぁ。
研究者いわく、
報復を止めれば、私たちの心は自然と別の解決法を探す方向に動く。それは、起きた問題を前向きに解決することかもしれないし、単に自分に「たいしたことじゃない」と言い聞かせることかもしれない。
とのこと。人間には「復讐したい!」と思っちゃう本能が内蔵されてるんだけど、そこをなんとか理性でしのいだほうが長期的には得なんだ、と。確かに「復讐心」って古代の状況ではフィットしたんでしょうが、現代の環境では適応的じゃないのかもしれませんなぁ