66人のテロリストの心理を調べたら何がわかったのか
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/12/66.html
66人のテロリストに調査をした
「テロリストになるのってどんな人?」について調べた論文(1)が興味深かったんでメモ。
これはロス・アンデス大学の研究で、コロンビアの刑務所に投獄された66人のテロリストを対象にしたもの。それぞれの被害者数は平均で33人とのことで、なかなか凄い研究になっております。
実験では、すべてのテロリストに知能&性格テストを実行。全員の知性、攻撃性、パーソナリティ、道徳観なんかをチェックしていったんだそうな。
テロリストと一般人に知性の差はないが…
そのうえで、一般人のテスト結果とくらべたところ、
- テロリストと一般人には、知性や実行機能の違いはない
- 一般人よりもテロリストのほうがやや攻撃性が高く、怒り・悲しみ・嫌悪といったネガティブな感情を認識するのが苦手だった
みたいな感じ。まぁこのへんは納得じゃないでしょうか。
道徳の優先順位に大きな違いが
が、もっとも一般人とテロリストのあいだで違いが大きかったのは「道徳の優先順位」なんだそうな。たとえば、
- 誰かに毒を飲ませたが、失敗して相手が生き残った
- 間違って誰かに毒を飲ませてしまい、相手が死んでしまった
ってシチュエーションがあった場合、普通は1番めの「意図的に誰かに毒を飲ませた」ほうが悪いと思うでしょうが、テロリストは2番めの「間違って殺した」ほうを「道徳的に間違っている」と判断しやすかったんだそうな。
道徳判断のゆがみが手段を正当化する
つまりテロリストは、
- 間違って起きた殺人よりも、意図的な殺人未遂を「悪」だと判断する
ってことですな。研究者いわく、
テロリストたちの性格特性は、彼らが持つ「自分の理想だけが重要だ」というユートピア願望への固執ぶりを反映している。すなわち、結果だけをベースにした彼らの道徳判断は、どんな行動でも正当化する効果を持つ。
とのこと。テロリストたちは、結果を出すことにこだわりすぎる傾向があり、そのせいで殺人にも手を染めてしまうんだ、と。なんかわかりますなぁ。
ちなみに、このような「道徳判断」の歪みは、小さな子供や前頭葉に傷を負った成人によく見られるものなんだそうな。となると、やっぱセルフコントロール能力の問題なんですかねぇ。