たった1分でIQを正確に判断するすごい方法が発見されたかも
1分でIQを正確に判断するすごい方法
IQを計るにはかなり面倒なテストが必要なんですけど、「すごい簡単にIQを予測する方法があるよ!」って論文 (1)が出てておもしろかったです。
これはロチェスター大学の実験で、まずは参加者たちに白黒のバーが動く動画を見てもらったんですな。具体的にどんな動画だったかはロチェスター大学のYouTubeで公開されてますんで、まずかこちらをごらんください。
このような動画を見つつ、参加者は「白黒バーがどっちに動いたか?」 を判断するだけ。後半に進むに従って、どんどんバーの表示時間は短くなって行きます。
白黒バーテストは正式なIQテストと高い相関が
このテストを受けたうえで、参加者は標準のIQテストを実行(WAIS-III)。その結果が、白黒バーテストの成績と関係があるかをチェックしたんですな。
で、結果はかなーりハッキリ出てます。具体的には、
- 白黒バーテストとIQテストの成績は相関係数0.71だった!
って感じ。普通は相関係数が0.7を超えると「かなりの関係がありそうですねー」と判断されまして、この手の実験で、これぐらいの相関が出るのは少ない印象だったりします。
動きへの反応がいい人は頭もいい
つまり、この結果をもうちょい簡単に言い換えれば、
- モノ動きに素早く反応できる人は頭がいい!
ってことになりましょう。なんでも、小さなサークル内に表示された白黒バーの動きがわかる人ほどIQも高い傾向がありまして、なぜか視覚的な動きへの鋭さは頭の良さと連動してるみたいなんですな。
研究者いわく、
頭の回転の速さは、動きへの反応と相伴っている。
とのこと。どうやら、ヒトの動作をつかさどる脳のエリアと、物事をスムーズに考える能力は近いところにあるみたい。
ただし、この結果には注意点もありまして、
- 大きな画面で白黒バーが表示された場合は、IQテストの成績が良い人ほど、バーの動きを判断するのが下手になる
って傾向もあったんだそうな。IQが高い人は、あくまで小さな白黒バーの動きを見るのが得意なだけで、画面いっぱいに白黒バーが表示された場合は、なぜか成績が悪くなったらしい。これまたおもしろい現象ですなぁ。
白黒バーテストで頭の良さがわかる理由とは?
では、なんで白黒バーでIQがわかるのかというと、このテストは「バックグラウンドの無駄な情報を取り除く能力」が判断できるからです。
たとえば、車の運転中にいきなり子供が飛び出してきた場合、大事なのは「目の前の子供」って情報だけで、背景のビルや通行人なんかはどうでもいいわけです。この時に、背景の情報を取り除くのがヘタな人は、そちらに気を取られちゃって、飛び出した子供への反応がどうしても遅くなっちゃうんですな。
いっぽうで情報のフィルタリングがうまい人は、瞬時に重要な情報だけにフォーカスできるんで、より素早くて正確な判断ができちゃうわけです。この状態を、一般的に「頭の回転が速い」と表現してるんですな。
これまでの研究によれば、人間の脳の一部は、視覚的な情報を抑制するために働いている。
ってことで、「頭の良さ」をアップさせるためには、いかにムダな情報を意識から取り除けるかが大事なんだ、と。なるほどねぇ。
知性は非常に幅広い概念なので、脳の一部を見ても計測はできない。しかしこのタスクはとても簡単で、しかもIQと密接にリンクしている。また、人間の脳がどうすれば知性が高まるかについても、有力な手がかりを与えてくれるだろう。
ということなので、皆さまも白黒バーテストを試してみてはいかがでしょう。私もやってみようと思ったんですけど、乗り物酔いをしやすい体質なもので、バーの動きを見てるうちに気持ちが悪くなって最後まで挑戦できませんでした(笑)