ニキビは「肌の病気」ではない!「心の病気」なのだ!みたいな話
メンタルを病むとニキビになる?
言うまでもなく、ニキビってのは複雑な現象なわけです。というのも、人間の肌はいろんな症状を映し出す鏡なんで、体内で老化が進行すれば顔にも影響が出ちゃうんですよね。
一般的には「ニキビは雑菌が原因だ!」みたいに言われるわけですが、その意味では、悪い菌のせいで問題が起きちゃうケースは意外と少なめ(特に大人になってからは)。なので、一般のニキビ治療薬ってのは効かない可能性も結構あるんですよね。
ニキビとうつ病には密接な関係が
そんななか「メンタルを病むとニキビに!」って研究(1)が出まして、「そりゃそうでしょうなぁ」みたいな気分になりました。
これはイギリスの健康調査を使った研究で、ニキビに悩む男女約13万人を15年にわたって追跡調査した内容になっております。それで何がわかったかと言いますと、
- ニキビと診断された人は、その後5年以内に鬱症状が出る確率が63%も高くなる!
だったそうな。結構な数字が出てますなぁ。
研究者いわく、
この調査は、肌とメンタルの重要なつながりに光を当てた。ニキビの診断と鬱症状のリスクの高さを見ると、いかに両者が密接に結びついているかがわかる。
ってことで、美肌を得るにはメンタルの改善も必要だよ!といった視点が強調されておりました。
脳と肌はつねにコミュニケーションをしている
もっとも、この実験は観察研究なんで、「ニキビで鬱になる」のか「鬱がニキビをひこ起こす」のかは不明。あくまで2つには関係があるよーって話であります。
が、いっぽうで最近では「脳と皮膚は緊密に連絡を取っている!」ってことがわかってきてまして、専門的には「脳皮膚軸」などと呼ばれてたりもします(2)。どうも人間の脳神経と肌はつねにコミュニケーションを取っていて、互いに影響を与えあってるみたいなんですな。
もともと、ストレスによってニキビ、乾癬、湿疹、脱毛症なんかの症状が悪化しちゃった経験をお持ちの方も多いでしょう。そのメカニズムが近ごろはわかってきまして、「心理皮膚病学」なんて言葉も出てきたぐらい。わりと熱い分野だったりするんですよね。
なぜメンタルを病むとニキビになるのか?
では、なんでストレスでニキビが起きるかといえば、理由のひとつが当ブログでもおなじみのストレスホルモン「コルチゾール」であります。ざっくりいうと、
- ストレスを感じてコルチゾールが出る
- コルチゾールが血管を痛めつけて細かい穴を開ける
- 皮膚に赤みが差して炎症が起きる
- ニキビや湿疹の発生!
みたいな感じ。ストレスホルモンの反応が血管を痛めつけ、結果として肌荒れにもつながっちゃうわけっすね。
この他にも、2012年にネイチャーに出た論文(3)によりますと、
- ストレスを感じるとマスト細胞が活性化(免疫システムに関わる細胞)
- マスト細胞が炎症を引き起こす
- ニキビや湿疹の発生!
ってな仕組みも報告されておりました。これの何が怖いかというと、
- マスト細胞で肌が荒れる
- 肌荒れのストレスでさらにマスト細胞が活性
- さらに肌が荒れる!
って悪循環につながっていくとこ。いったんストレス反応に火がつくと、どんどん延焼していく可能性が高いんですよ。
まとめ
研究者いわく、
あなたの病気が体にストレスを与え、そのストレスがさらに症状を悪化させる。これは間違いない事実だと思う。
しかし、これはある意味で良いニュースでもある。ストレスが原因で肌荒れが起きている患者には、グループサポートやサイコセラピーなどで、ストレスをやわらげてやれば良いのだから。
ってことで、いろいろやっても症状が治らないときはストレス対策に力を入れてみるのも手でしょうね。
また、近年はニキビなどの治療に認知行動療法を採用するケースも増えてきたそうなんで、
- まず皮膚科に行ってみる
- なんの改善もなければ心療内科に行ってみる
ってステップを試すのもいいかもしれません。いずれにせよ、肌荒れってのは単なる「雑菌の繁殖」ではなく、脳と腸が悲鳴を上げてるサインかもなので、十分に気を配ってやっていただければと存じます。