世界最強の長生きエリア「サルディーニャ」をガッツリ調べたら何がわかったか?
世界最強の長寿エリアはどこだ?
世界には「ブルーゾーン」と呼ばれるエリアが5つあるわけです。これは2000年代の前半に人口統計学の世界で言われ出した話で、世界の一部にはやたらと長生きな人が多いエリアがあることがわかったんですな。
その5つってのが、
- イタリアのサルディーニャ島
- 日本の沖縄
- カリフォルニアのロマリンダ
- コスタリカのニコヤ半島
- ギリシャのイカリア島
ってことで島が多いですね。これらについて詳しくは、「ブルーゾーン」などの本を参考にしていただければ幸いです。
イタリアのサルディーニャ島がなぜ凄いのか?
でもって、この5つのなかでも最強と名高いのがサルディーニャ島であります。一般的んはセレブがよく使うリゾート地として有名ですが、実は非常に100歳オーバーのご長寿さんが多い島なんですな。
特におもしろいのが、この島ではなぜか男性の100歳人が多いとこ。普通は女性のほうが長生きなんで、大帝の場合は100歳人の男女比率は1:4ぐらいに落ち着くものなんですよ。
ところがサルディーニャ島では、不思議なことに100歳人の男女比が1:1ぐらいなんですね。これは人口統計の常識を覆す事実なんですよ。
というわけで、「なんでサルディーニャ島はそんなに凄いの?」って問題を調べた論文(1)が出まして、これがなかなかおもしろいんですな。
サルディーニャの人が長生きなのは遺伝のせいではない
これはイタリアのカリアリ大学による研究で、サルディーニャに住む21組の家庭を調べたもの。全員に複数の質問紙をわたして、日々の幸福度やライフスタイルをガッツリ調べていったらしい。
で、ここでおもしろいのが、「サルディーニャの人は遺伝子が優れてるのでは?」って疑問について。この問題については過去に人口統計学者が調査を行っていて、
- サルディーニャの人々が長生きなのは、20〜25%は遺伝のせい
って結果が出たんだそうな。つまり、残る75〜80%の要因については遺伝じゃ説明がつかないわけっすね。
サルディーニャ島の老人はメンタルが健康で脳もシャープ
では、サルディーニャに住むご老人にはどんな特徴があったかというと、
- 裕福な暮らしをしている人はほとんどおらず、特にいいものを食べているわけでもない
- サルディーニャ島には固有の風土病も多く、老人が患うケースも多い
ってことで、意外と生活環境は厳しいみたい。しかし、それにもかかわらず、
- サルディーニャの老人が病院にかかるケースは非常に少ない
- 老人になってもメガネなしで読書をすることも多い
- 普通のイタリア人よりもワーキングメモリの性能がいい
- 老人で鬱症状が出ているケースは非常に少ない
って傾向がありまして、なかなか凄いことになっております。特に日本や欧米なんかでは、年をとってから鬱症状が出てしまうケースが多いので、このメンタルの健全さにはビックリですね。
サルディーニャ島に住むと長生きになる理由とは?
さて、それではいろんな要素を分析した結果、サルディーニャ島のご老人が非常に元気な理由がなんだったかと言いますと、
「家族」は長寿において基本的な役割を持っている。肉親や隣人たちは積極的に老人のめんどうをみて、毎日のように若者と触れ合うチャンスを作ろうとする。
サルディーニャでは、老人は厄介者とはみなされない。それどころか、知識と価値をいまに伝えてくれる媒介者として捉えられている。老人はコミュニティを形作るリソースのひとつなのだ。
とのこと。どうやらサルディーニャでは、年を取っても家族の中心的な存在として尊敬を受け続けるため、老人もつねにアクティブに動き続ける傾向があるらしい。
サルディーニャの老人たちは、昼食後は必ず広場に集まって雑談をし、ゲームで遊び、コミュニケーションを楽しむ。
運動にせよ文化的な活動にせよ、様々なアクテビティに参加すれば、それだけあなたの頭はより効率が良くなる。
ってことで、「人間関係を大事にせよ!」という当ブログではおなじみの結論であります。
もちろん、100歳人が多い理由はこれだけじゃないでしょうが、たとえば243人の100歳人を対象にした2012年の調査(2)なんかでも、
彼らのパーソナリティを調べると、いずれも人生に対してポジティブな態度が認められた。(中略)特に彼らは、「笑い」を人生の中心的な要素とみなし、非常に大きなソーシャルネットワークを築いていた。
なんて報告が出てたりして、ソーシャルネットワークの大事さは揺るぎない感じ。狩猟採集民の世界でも「年寄りほど尊敬される」って文化がありますし、老化のマイナスイメージも変えてかにゃいかんのでしょうなぁ。