歳を取っても頭がボケにくい人に共通する”ある特性”とは?
頭をシャープに保つために、運動と食事ぐらい大事なこと
年を取ってもボケないためには、食事と運動の改善が必須なのは言うまでもない話。ただし、ここで「もうひとつ非常に大事なポイントがあるよ!」ってデータ(1)が出てておもしろいです。
これはイェール大学の研究で、4,765人の高齢者を対象にしております。平均年齢は72歳で、認知症にかかってない人だけを選んだそうな。
で、ここで研究者が注目したのが「APOE」って遺伝子です。過去のデータにより、この遺伝子を持っている人は認知症の発症率が高いことがわかってるんですな。
ただし、「APOE」を持ってるからといって、必ずしも認知症になるわけじゃないのが興味深いところ。APOE保持者が認知症になる割合はだいたい47%ぐらいでして、なぜ残りの53%には症状が出ないのかは、これまで謎だったんですな。
認知症になりにくい特性が見つかった
ってことで、すべての参加者を4年にわたって追跡調査したところ、”ある特性”を持ったご老人は、APOEを持っているにも関わらず認知症の発症率が異常に低かったんだそうな。その特性が何かと言いますと、
- 歳を取ることに対してポジティブな考え方をしているかどうか
だったんですな。加齢に対する考え方がポジティブだった人は、ネガティブな人にくらべて49.8%も認知症の発症率が低かったというから凄いもんです。
ちなみに、この実験ではAPOEを持ってない人も調べてて、こちらも認知症の発症率はだいたい同じぐらいの違い。歳を取ることに対してポジティブな人は、格段に頭がボケずに済んでいたらしい。
また、ここでいう「ポジティブな考え方」ってのは、「歳を取るごとに、自分が役立たずたと感じる」のような文章に同意するかどうかで採点した模様。老化に対してマイナスなイメージを持ってるかどうかで、脳のダメージが大きく変わるわけっすね。
加齢へのネガティブなストレスが頭にダメージを与える
なんでこのような現象が起きるのかと言いますと、
この研究の結果によれば、加齢に対するポジティブな思考がストレスをやわらげ、認知症のリスクが高い高齢者に対して、防御壁のような働きをするのだと思われる。
とのこと。加齢に対するストレスが、私たちの脳にダメージを与えてるんじゃないか?と考えてるわけですね。
このへんのメカニズムはよくわからないものの、過去にも似たような研究はいろいろありまして、
なんて報告も出てますんで、自分の年齢に対するイメージのインパクトは疑いなかろうと思うわけです。
老化に対してポジティブな考え方をしている人は、遺伝子がもたらす痴呆のリスクを下げることができる。
この事実は、老化へのネガティブな考え方を促進する「エイジズム(高齢差別)」に立ち向かうことの重要性を示している。
ってことで、加齢へのネガティブなイメージを取り除くことの大事さが強調されておりました。具体的なバイアスの取り除き方につきましては「老化のマイナスイメージを取り除くだけでも寿命は激しくのびる」に触れてますんで、合わせてご参照いただければと。