ダイエット中に糖質を増やすとヤバい!はどこまで本当か?
ダイエット中に糖質を増やすのはまずいのか?
ダイエット中に糖質を取るのはヤバい!みたいな考え方をたまに見かけるわけです。前にも書いたとおり、カロリー制限をするとどうしても脂肪が燃えにくい状態になるんですが、ここに糖質を加えると、さらに痩せない体になっちゃうというんですな。
その理由としては、「糖質のせいでインスリンが増えて〜」とか「糖質のせいで脂肪の分解が遅れて〜」とかいろいろ言われるんですけど、「実際はどうなの?」ってとこを調べた論文(1)がありますんでご紹介しておきます。
カロリー制限しつつ糖質の量を変えてみた
これはタフツ大学の研究で、肥満に悩む91人の男女が対象(年齢は45〜65歳)。実験は4つのフェーズに別れていて、
- フェーズ1:最初の5週間は、いまの体型を維持するのに必要な量だけを食べる
- フェーズ2:次の12週間は摂取カロリーを67%まで減らして、糖質の量を細かく変えた食事法(後述)を実践
- フェーズ3:再び5週間ほど、いまの体型を維持するのに必要な量だけを食べる
- フェーズ4:すべての参加者に好きなように食事をしてもらい、12か月の経過をチェックする
って感じ。このタイプの研究としては非常に徹底した内容になっていて、とても良いのではないでしょうか。
そのうえで、フェーズ2では以下の4パターンの食事が割り当てられております。
- 中糖質&高GIダイエット:糖質54%、脂肪29%、タンパク質16%で、GI値が80の食事
- 中糖質&低GIダイエット:糖質54%、脂肪31%、タンパク質16%で、GI値が51の食事
- 高糖質&高GIダイエット:糖質70%、脂肪14%、タンパク質16%で、GI値が86の食事
- 高糖質&低GIダイエット:糖質68%、脂肪16%、タンパク質15%で、GI値が59の食事
ご存じのとおり、GI値は「食事の後にどれぐらい血糖値が上がるか?」を示した指標のこと。たんに糖質の量だけじゃなくて、食後の血糖値で差が出るかまで調べたわけですねー。
糖質量もGI値も、ダイエットには何の関係もなかった
では、以下に結果を並べていきます。
ポイント1.糖質を増やしても「体脂肪の燃えにくさ」に変わりはなかった
フェーズ2の段階で、参加者の代謝は平均で6.5%ほど減ったものの、すべてのグループに目立った差はなかったとのこと。糖質を増やそうが、GI値が高かろうが、痩せにくい体になるような現象は何も確認されなかったみたい。
ポイント2.糖質を増やしても同じように痩せた
どの参加者も、実験後には平均で7.5%ほど体重が減っておりました。こちらもほとんどのグループで結果は同じで、有意差はなかったそうな。
ポイント3.GI値が高かろうが低かろうが同じように痩せた
これまた上の結果と同じで、全グループの体重の減り方はほぼ同じ。食後の血糖値が高かろうが低かろうが、特にダイエットの効果には影響が出なかったわけですな。
ポイント4.糖質の量は「ダイエットの質」にも影響がなかった
いかに同じぐらい体重が減ってたとしても、いっぽうだけ筋肉が減ってたら「ダイエットの質」としては低いわけです。が、興味深いことに、ダイエットの質についても全部ループでほとんど差はなし。落ちた体重のうち、だいたい82%が体脂肪だったんですな。
ポイント5.糖質の量は「リバウンド」にも影響がなかった
フェーズ4で12か月ほど経過をみたところ、どのグループも平均で4.3キロほどリバウンドしまいsて、やはり糖質とGI値による違いは確認されなかった模様。
まとめ
ってことで、ざっくりとデータを見てみましたが、ダイエット中に糖質を増やそうが減らそうが、大きな結果には関係ないんだろうなーという印象であります。もちろん、これは中レベルの糖質と高糖質の比較なんで、糖質制限ダイエットぐらいまで炭水化物を削った場合の違いについてはわかりませんが。
とはいえ、この実験は非常によくデザインされた内容になってまして、「ダイエット中に糖質を増やすのが怖くて……」のようないらぬ心配を抱いている方には有用なデータじゃないでしょうか。あくまでも総カロリーに注意しつつ、糖質を怖がらないようにしていただければ幸いです。