お腹いっぱい食べても摂取カロリーが減る「ポーションコントロール」の考え方
ダイエットの定番テク「ポーションコントロール」とは何か?
ダイエットにおける定番のテクニックに、「ポーションコントロール」ってのがあります。簡単にいうとカロリー制限の仲間で、「1食分の”量"に気を配りながら食べよう!」みたいな感じ。
日本で有名な例だと「手ばかりダイエット」なんてのがありますが、これもポーションコントロールのひとつ。あらかじめ、ざっくりと「1食分」の量を決めておいて、その範囲を超えないように調整していくわけですね。
これは大昔から定番の戦略でして、それなりに効果も実証済み。手ごろなダイエットツールのひとつとして、覚えておいて損はないかと思われます。
が、近ごろ、「アペタイト」っていう有名なジャーナルに「本当に効くのはポーションコントロールよりも”体に良いものを食べる”ことだ!」って論文(1)が出まして、かなーり勉強になりました。
ポーションコントロールの効果をいろんなメニューでチェックした
これはペンシルバニア州立大学の実験でして、2タイプの女性が参加しております。
- 肥満ぎみの女性73人
- 平均体重の女性29人
そのうち、肥満気味の39人に対して、1年にわたってポーションコントロールのやり方を指導。そのうえで7種類のメニュー(サラダとかシリアルとか卵とか)を用意して、全員に「好きなように食べてください」と支持したんだそうな。
ただし、その際に、それぞれの「1食分」の量を細かく分けて、100%、125%、 150%、 175%の4パターンを用意したのたポイント。過去のデータでは、たいていの人は「1食分」の量が多くなるほど食べ過ぎてしまうことがわかってるんで、当然、175%のメニューを食べたときのほうが摂取カロリーは多くなるはずなわけですね。
ポーションコントロールは実は無意味?
その後、数週間の経過をチェックしたところ、おもしろい結果が出まして。まずひとつめは、
- ポーションコントロールの訓練を受けたグループでも、「1食分」の量が増えると食事量は増えていた
だったらしい。具体的には、「1食分」の量が75%増えると、すべてのグループが平均で27%ほど食事の量が増えたんだとか。やはり一皿の食事が多いと、人間はつい食べ過ぎてしまうみたいっすね。
食事の量が増えてもポーションコントロールなら摂取カロリーは減るというミステリー
というと、「ポーションコントロールなんて無意味!」って結論になりそうですが、実際はさにあらず。いっぽうでは、
- ポーションコントロールの訓練を受けたグループは、たくさん食べたにも関わらず摂取カロリーは少なかった!
って結果も出てたりするんですな。なんでも、ポーションコントロールのグループは、食事の量が27%も増えたのに、他のグループよりも摂取カロリーは平均で100kcalほど少なかったらしい。結構な違いですねぇ。
ポーションコントロールが効く本当の理由とは?
このような結果が出た理由は簡単で、
- ポーションコントロールの訓練を受けたグループは、他のグループよりも「カロリーの質」が高い食事を選んでいた!
からです。「カロリーの質が高い食事」ってのは、ざっくり言うと「1食分」あたりのカロリーが低くて栄養価は高いメニューのこと。たとえばサラダとかフルーツなんかが代表的な例ですね。
「服用危険」でも書きましたが、とりあえず「カロリーの質」さえ気にしておけば健康な食事の9割はOK。めんどうなカロリー計算やPFCバランスの調整なんかしなくても、自然に健康な体型になれると考えられているんですな。
結局は「より健康的な食事」を選ぶのが大事
研究者いわく、
すべてのグループには、同じ食事が提供された。しかし、彼らのメニュー選びには大きな違いが見られた。ポーションコントロールの訓練を受けたグループは、訓練を受けなかったグループに比べて、自然とカロリーの質が高い食事に手を伸ばしていた。
とのこと。つまり、ポーションコントロールに効果があるのは、全体的な食事の量が減るからではなく、「より健康的な食事」を選ぶようになったのが大きいわけですな。
この実験の結果により、健康的な食品を選ぶほうが、食事量のコントロールよりも効果的で続けやすい戦略であることがわかった。
いかにポーションコントロールを心がけていても、もしカロリーの質が低い食品を選んでしまえば1食分の量は減ってしまう。その結果、もっと空腹に襲われル事になるだろう。
ってことで、事前に「この量しか食べない!」と決めておくよりも、「できるだけ健康的な食事を選ぶ!」と決めておいたほうが、心理的にもラクにカロリーが減らせるのではないかと思われます。このあたりはパレオダイエットの発想にも近いので、非常に納得の結果でありました。