「不安なオッサンは10年後にボケる確率が2倍近く上がるぞ!」というメタ分析
「不安なオッサンは10年後にボケるぞ!」って論文(1)が出ておりました。不安が脳機能を下げるってデータは昔から多かったんですけど、そこらへんを深掘りしてみたわけですな。
これはサウサンプトン大学の研究で、中年期の不安が将来の脳にどう影響するかをチェックしたもの。私のように40代の方には参考になるところも多いのではないかと。
具体的にどんな研究かと言いますと、
- 3500以上の過去データから信頼性が高いものを選抜
- 最終的に4件のデータをピックアップしてメタ分析にかける
って感じです。メタ分析としては文献の数が少ないものの、 サンプル数は29,819でそれなりの数。まぁまぁ信頼できる内容になっております。
で、ざっくり結論から言ってくと、
- 中年期に「不安症」だと判断された人は、10年後にハッキリと認知症のリスクが上がる
- 4件のオッズ比(認知症になりやすいリスクね)はこんな感じ。
- OR, 1.61 (95% CI, 1.28-2.02)
- OR, 7.4 (95% CI, 3.5-16); OR,
- 1.62 (95% CI, 0.59-4.41);
- OR, 1.48 (95% CI, 1.01-2.18).
ってことで、なかなか高めの数値が出てたりします。個人的には「やっぱ不安って脳に良くないんだなー」と思わせるには十分な数字と言いますか。
なんで不安が脳に良くないかといえば、当然ながらストレスのせいです。研究者いわく「中程度から激しいレベルの不安」は脳細胞の老化を進めちゃうし、中枢神経の働きも悪化させちゃうんだとか。その結果として認知症の発症率も上がっちゃうわけっすな。
ただし研究者いわく、
中年期に不安を減らすことで認知症のリスクを減らせるかどうかはまだわからない。
ってことで慎重な態度をとっております。さらに、
対話療法やマインドフルネス瞑想のような薬物を使わないセラピーは、中年期からの不安を減らすのに効果的だ。これらの両方を使えば認知症のリスクも減らせるかもしれないが、今後のリサーチはさらに必要だろう。
だそうで、とりあえず「中年期の不安は適切に対処しとこうね!」ってあたりが強調されてました。
もちろん、この研究は遺伝やホルモンバランスの変化などは考慮に入ってないんで、「不安でボケる!」とは断言できない段階ではあります。とはいえ「不安のせいで脳にダメージがある!」ってデータが多いのも確かですんで、40を超えたらさらに積極的な不安対策をしてく必要はあるかなーと思う次第です。