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「不安」の感情で逆にモチベーションをアップさせる方法とは?

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「不安」が毒にも薬にもなるのは有名な話。締め切りのプレッシャーがないとモチベーションが湧きづらいもんですが、一方でプレッシャーが強すぎれば逆に生産性は落ちちゃいますからねぇ。

 

 

では、「不安のメリットを活かすにはどうすればいいの?」って問題が気になるわけですが、そこらへんを調べた研究(1)が出ておりました。

 

 

これはマラガ大学などの実験で、194人のドイツ人、270人のドイツ人ジャーナリスト、159人のポーランド人学生が対象。まずは全員にこんな質問をしております。

 

  • 締め切りの不安は、時間どおりに仕事を終わらせる役に立つと思いますか?
  • ゴールへの不安は、自分が集中する役に立つかと思いますか?

 

要するに、それぞれの参加者が「不安は良くないものだ!」と思ってるか、それとも「不安は役に立つのだ!」と思ってるかをチェックしたわけですね。研究チームは「不安は役に立つ」って考え方を「不安モチベーション」と呼んでおります。

 

 

その上で、それぞれの答えと参加者の「業績」を比較したところ、

 

  • 不安モチベーション高い学生ほど成績が良い!
  • 不安モチベーションが高いジャーナリストは仕事の満足度が高い!
  • なかでも、自分の感覚をしっかり認識できている人ほど不安のメリットが大きくなる!

 

って傾向が出てたそうな。つまり、「不安はモチベーションアップに欠かせないのだ!」と思ってさえいれば、不安を存分に活かすことができるんだ、と。

 

 

研究者いわく、

 

不安をモチベーションの源泉として使うと、不安のデメリットは相殺されるようだ。

 

私たちはネガティブな感情のポジティブな側面をもっと理解すべきだろう。特に「不安」については、多くの人が抑圧するか避けようとしてしまう。

 

しかし、今回の実験でも明らかなように、不安は私たちに大量のエネルギーと集中力を与えてくれる。実際に、不安をモチベーションアップのために使っている人もいるのだ。私たちが、この現象を「不安モチベーション」と名付けたゆえんだ。

 

とのこと。もちろん、これはセルフレポートがメインだし、この研究だけじゃ原因と結果の関係はわからないわけです。しかし、ちょっと前にも「『ストレスはいいものだ!」と考えるだけで仕事の生産性は大きく上がる!」って話がありまして、さもありなんと思ってしまうわけです。

 

 

さらに研究者いわく、

 

「不安モチベーション」が高い人たちには、2つの種類があるようだ。ひとつは不安が生み出すエネルギーをモチベーションに変換するタイプで、もうひとつは不安を貴重な情報源として取り扱うタイプだ。

 

だそうな。「不安を貴重な情報源として取り扱う」ってのは、たとえば「不安が起きたってことは何かゴールへの問題が起きてるってことだな……」みたいに思うタイプのことです。「不安」と嫌な感情として切り捨てるんじゃなくて、フィードバックの情報源として取り扱ってるわけですね。個人的にはこっちのやり方のほうが好きかも。

 

不安モチベーションは、ストレスが多いシチュエーションのバッファーになってくれる。ストレッサーが「前向きなチャレンジだ」と解釈されるため、感情の消耗を防げるのだ。

 

ってことで、なんか不安がわき起こったら、「こん不安は自分に何を伝えようとしてるんだ?」と自分に問いかけてみるのもいいかもしれませんなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。