女性が筋トレで体脂肪を落としたければ「ベタニン」がいいかもよ!という実験
今回はベタインって成分の話です。
このブログでは初出かと思いますが、ベタインってのはホウレン草や貝類なんかにふくまれていて、昔から「筋肉量や筋力を増やすのに役立つんじゃないの?」と考えらえてきたんですよ。その理由はおもに3つありまして、
- クレアチンを体内で活用しやすくしてくれる(そのおかげで疲れにくくなる)
- 細胞内の水分の活用を改善してくれる(そのおかげでストレスに強くなる)
- Akt-mTORってシステムを活性化してくれる(そのおかげで筋肉のタンパク質合成が高まる)
ってあたりが有力視されております。筋肉量にかかわる体内の仕組みに作用するのにくわえて、厳しい筋トレに耐えやすい体にしてくれるんじゃないか?と考えられてるわけですな。
ただし、以上の考え方は動物実験がベースなんで「果たしてヒトにも役立つのか?」って問題は未知数だったんですが、新しいデータ(1)は「女性のボディメイクにベタインが使えるか調べたよ!」って内容になってて役立ちました。
これはコースタル・キャロライナ大学の研究で、実験デザインは以下のような感じ。
- 被験者は、よく有酸素運動をしてる女性23人(筋トレは未経験)
- 女性の体脂肪は平均32.7%でちょっと太め
- 被験者の半分に1日2.5gのベタインを飲んでもらいつつ、全員に筋トレを指示
実験期間は9週間で筋トレの内容は、
- 下半身メインのメニューを週に2回
- 上半身メインのメニューを週に1回
のようになってまして、ベンチプレスやスクワットといった定番のメニューが採用されております。
でもって、9週間後のテストでどんな違いが出たかと言いますと、
- ベタインを飲んだグループは……
- 体脂肪率が多めに減った!(-3.3%vs. -1.7%)
- もちろん体脂肪も多めに減った! (-2.0 vs. -0.8 kg)
- スクワットの筋力も上がった!(ただしこれは統計的に有意じゃない)
みたいな感じ。全体的に見ると筋肉より体脂肪の減少に効いてますが、これは参加者たちが30%台の体脂肪率からスタートしたからでしょうな。何れにせよ、体脂肪の減りっぷりはなかなかじゃないでしょうか。
ちなみに、この論文には全員の食事記録も出てまして、
- 両グループとも摂取カロリーには差がなし
- 1日のタンパク質摂取量は平均で体重1kgあたり1.1〜1.3g
のようになってます。現代では「筋トレ中のタンパク質は体重1kgあたり1.6g以上は取ろうぜ!」ってのが総意なんで、この実験ではちょっと少なめですね。タンパク質量を増やしておけば、もうちょい筋肉への効果もあったかもしれませんな。
ってことで以上の話をまとめると、
- ベタインは体脂肪を減らして筋肉の成長に役立つかも?
- ただし体脂肪が多めで筋トレ経験が少ない人じゃないと意味がないかも?
ぐらいのことは言えそう。これはまだサンプル数が少ないですけど、運動好きの男性を対象にした2010年の実験(2)でも「運動パフォーマンスが上がった!」みたいな結果が出てるんで、それなりに何かがありそうな成分だなーとは思うわけです。
個人的にはもうちょい様子見したい成分ではありますが、先物買いをしたい方はサプリでどーぞ。ちなみに、ネットで探すと「ベタイン塩酸塩(HCL)」ってのがヒットしますが、これは今回の研究で使われたのとは別物なんでご注意ください(ベタイン塩酸塩は消化不良の改善に使われる)。
サプリでベタインをとりたい場合は、「TMG (トリメチルグリシン)」ってのがそれに当たりますんで、お気をつけください。ややこしいですねぇ。