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若者のほうが中年より疲れにくい?そんなのは嘘だ!というオッサン向けの研究

Runners

 

わたしは35歳から本格的に運動をはじめた人間なんで、ときどき「20代から筋トレをやっとけば疲れにくさも違ったのかなぁ……」とか思うことがあるわけです。筋トレでヘトヘトになると、「ここからどんなにトレーニングをしても若い人には叶わんのだろうなぁ……」みたいな。

 

 

が、近ごろ出た論文(1)は「おっさんも若者も疲れにくさは同じ!」みたいな結論になってて、「あら!」と思ったのでした。

 

 

これはチェスター大学の実験で、被験者の構成はこんな感じ。

 

  1. 21〜 25歳の男性9人
  2. 35〜54歳の男性9人

 

最低でも2年間の筋トレ歴がある人だけを選んだそうで、まずは善意に以下のようなトレーニングを命じております。

 

  1. 1RMの60%ぐらいの負荷でスクワットを10回(1RMについてはこちらをどーぞ)
  2. 上のスクワットを10セット行う
  3. セット間の休憩は2分
  4. スクワットはできるだけ速いスピードで行う

 

ってトレーニングをこなした後で、みんなの疲労度をチェックしたわけですな。具体的には、

 

  • 1RMの20%と80%でピークパワーの変化を確認
  • 乳酸レベルを調査
  • ニーエクステンションの変化を調べる
  • RPEで主観的な疲れのレベルをチェック

 

のようになっていて、おなじみの項目がならんでおります。

 

 

さて、これでどんなことがわかったかと言いますと、

 

  • 主観的な疲労感の上がりかたには年齢で差がない!(1セットごとのRPEの上がりかたは、若者が0.36で中年が0.34ポイント)

 

  • パワーアウトプットは若者がちょっと高いが、これは単純に若者のほうが力強いからだと思われる

 

  • ピークのスピードも同じ

 

  • 1RMの20%と80%におけるピークパワーにも目立った違いはなし

 

  • 乳酸レベルは若者のほうが高かった(効果量2.46)。ただしこれはエクササイズ前の数値が低いんで、やたらと効果量が大きく出たのだと考えられる

 

だったそうな。いろいろ書いてますけど、ひとことでまとめちゃうと「筋トレの疲れにくさも回復力も差はなし!」ってことでして、わたしのような中年男にはうれしい結果じゃないでしょうか。

 

 

もちろん、60代と20代をくらべた別の実験(2)では、さすがに「若者のほうが有利!」って結果は出てるものの、とりあえず50代ぐらいまでは気にしなくてもよさげ。これはいいですねー。

 

 

ただし、ここで研究チームからの注意点もありまして、

 

 

  • ちゃんとトレーニングを続けてない場合は、中年からメキメキ疲れにくくなるよ!

 

ってあたりも指摘されてたりします。30代になっても何のトレーニングもしない人は、年を取るにしたがって、運動量が多い人との疲れにくさの差が開いていくというんですな。

 

 

これは、たとえば、39歳までは毎週エクササイズをしてたのに40歳からは運動をやめてしまった場合も同じで、それまで運動をしてこなかった人と同じレベルまで体力が激減しちゃうんだそうな。つまり、エクササイズは死ぬまで続けないと意味がないってことですねぇ。

 

 

ってことで、あらためて「運動は一生モノだ!」って気持ちが高まるデータでありました。あとは、いかに運動をライフスタイルに組み込むかを考えていくしかないですねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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