レクチャー動画を何度も見直して勉強すると学習効率は上がるのか問題
「テキストの再読はダメな勉強法だ!」ってのは昔からよく言われる話。勉強というとつい何度も参考書を読み返したりしちゃうんですが、これだと受け身すぎて脳が活発に働かないし、刺激が少ないせいで集中力もとぎれちゃうんすよね。
ってところで気になるのが「動画を見返すのもダメなの?」って問題であります。最近はオンラインのレクチャーやセミナー動画で勉強する人も増えてきましたが、いったん見終わったムービーをくり返しチェックするのは、果たして学習効率の向上に役立つのか、と。
近ごろ、そんな疑問に取り組んでくれた論文(R)が出ましたので、軽くご紹介しておきます。これはウォータールー大学などの研究で、72人の参加者に10分のレクチャー動画を2パターン見てもらったもの。
- 「中年期の衛生」について講師が解説する動画
- 論理的に問題を解決する方法を解説したスライドにボイスオーバーの音声解説を入れた動画
すべての参加者はどちらの動画を見るかを選んだうえで、
- 1回だけ動画を見て、その内容を確認するテストをする
- 動画を続けて2回見て、その内容を確認するテストをする
って2つのグループに分類。このときすべての参加者には、「いま動画の内容から気がそれて別のことを考えてましたか?」って質問が出されたそうな。この質問で、みんなの集中力をチェックしたわけっすね。
これぐらいシンプルな実験デザインだと、さすがに「動画を2回見たほうが記憶に残るでしょ」と思っちゃうわけですが、結果はそうでもありませんで、
- 動画を1回だけ見たグループの正解率は79%だったのに対し、動画を2回見たグループの正解率は76%だった!
って結果だったんですな。微妙な差ではありますが、2回見たほうが成績が下がっちゃったみたい(統計的には有意差がないですが)。
なんでも動画を2回見たグループは、全体的に集中力がとぎれて別のことを考えてしまう傾向があったそうで、そこでわき上がった思考のせいで1回目の記憶が薄れたみたい。続けて動画を見たのが原因で、記憶が鑑賞したのではないか、と。
ってことで、どうやら動画で勉強するときは1回に集中したほうがよさげ。もちろん、この実験では「立て続けに動画を見る」ってデザインを採用してるんで、分散効果の要領で時間を空けてくり返した場合はまた結果が違って来るかと思います。その辺りはご注意ください。
いずれにせよ、テキストだろうが動画だろうが「正しい勉強法」のやり方は変わらなそうなんで、
あたりを参考にしていただけると吉であります。