サイコパスって組織のリーダーとして有能なの?のメタ分析
会社のお偉い人たちのなかに、意外とサイコパスが多いってのは有名な話。なんせサイコパスってのは、
- 支配的
- 衝動的
- 相手の感情にこだわらない
って側面があるんで、競争社会を生き抜くためには意外と有利だと考えらえるんですな。
が、それと「サイコパスのCEOは本当にうまくやっていけるのか?」はまた別の話。ゴリ押しが強い人が会社の頂点に立ったはいいものの、経営そのものはまったくダメだったなんてケースは普通に考えられそうですからねぇ。
ってことで新しいデータ(R)は、「サイコパスは本当に有能なのか?」問題をがっつり調べてくれていてナイスでした。
これはアラバマ大学などの研究で、過去のサイコパス研究から92件のデータをまとめまして、
- 本当にサイコパスって社会の偉いポジションにつきやすいの?
- サイコパスの偉い人って本当に有能なの?昇進してから能力を発揮できてるの?
みたいな問題を分析したメタ分析になっております。ありそうでなかったタイプの良い研究ですねー。
でもって、その結論をざっくりまとめますと、
- サイコパスがリーダーのポジションにつくことはあるが、そんなに相関は強くない
- サイコパスとリーダーシップのうまさには負の相関が見られたが、周囲の評価は意外と高かった
- 以上の特徴は男性だけに当てはまる
みたいになってます。もうちょいわかりやすく言うと、
- サイコパスがリーダーになることもあるが少数派である
- 別にサイコパスは経営がうまいわけではないが、偉そうなので有能に見られやすい
- 女性のサイコパスはCEOにならないし、有能にも見られない
だったそうです。どうやらサイコパスが社会的に有能ってわけでもないみたいっすね。
研究チームいわく、
全体的に見れば、サイコパスは会社の最終収益になんのメリットももたらさない。これは、シンプルに同僚から嫌われるからだ。
サイコパスは他人を動かすために、他人を不快にさせたり脅威を与えようとする。この戦略は決して報われない。
とのこと。確かにサイコパスの勇敢な行動が役に立つこともありましょうが、他人とうまくやってけないせいで、結局はリーダーとしては使えない存在になっちゃうんだ、と。そりゃそうでしょうな。
また、男女のサイコパスで差が見られた理由については、
もしリーダの座を狙う女性が、サイコパス的な男性と同じように振る舞ったとしても、同じようにポジティブには評価されないだろう。
ってことで、シンプルに女性差別の問題を指摘しておりました。男性のサイコパスは一定の評価を受けるけど、女性はたんに「出しゃばり」のようにとらえらちゃうのでは?ってことですな。うーん、ありそう。
もっともこの研究では、以前に取り上げた「社会的に役に立つサイコパス」のアイデアは組み込まれてないので、ここらへんを使ったらまた違う結果が出てきそうではあります(そもそも研究によってサイコパスの定義が違うので、なかなか難しいんだけど)。その意味で今後の趨勢が変わる可能性も十分にありましょう。
ともあれ現時点では、大きく見れば「サイコパスは有能なリーダーにはなれない!」と考えといたほうが良さげ。また、サイコパスほど有能に見られやすいってのも間違いなさそうなんで、組織で偉くなりたいという野望がある方は、ときどき血も涙もないキャラのようなアピールをしておくと効果があるかもしれませんね(笑)