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科学的に否定された「間違った学習法」がいまだに使われすぎている問題

Stuyd

 

非科学的な学習法はどれだけ広まっているのか? 

世の中にはいろんな学習法がありますが、すでに科学的には否定されたものも多いわけです。

 

 

が、いまだ世間では「本当はムダな手法」が幅を効かせていて、プロ教師でも普通に使ってたりとか。なかなか困った問題ですが、そのへんの話を調べた研究(1)が出てておもしろかったです。

 

 

これはアメリカ進歩センター(CAP)の調査で、およそ3,000人の男女に対して「すでに科学的には否定されてる学習法をどれだけ信じてる?」って問題をアンケートでチェックしたもの。CAPはオバマの政策立案もやってた凄いシンクタンクだったりします。

 



 

 

 

最大の迷信は「適した学習スタイルを選べ!」

で、どんな結果が出たかと言いますと、まずひとつめが、

 

  • およそ90%が「個人に適した学習スタイルを選ぶのが大事だ」と考えていた

 

「学習スタイル」ってのは、個人の気質によって「耳で学ぶ」や「読書中心で学ぶ」といった手法を切り替えていく手法のこと。日本だとそんなに聞かない気もしますが、アメリカではすごいメジャーな考え方だったりします。

 

 

ただ、この手法はすでに何度も否定されていて、いまではマトモに信じている科学者はゼロ。それでも直感的に納得しやすいせいか、根強い人気があるみたいですね。

 

 

2番めの迷信は「生徒の賢さをほめよ!」

続いて多かったのが、

 

  • 71%は「生徒の賢さをほめてやる気を上げるのが大事」と考えていた

 

ってやつだったそうな。「子供の賢さをほめちゃダメ!」ってのは過去にも書いたとおりで、 科学的には「学習のプロセスをほめていく」のが正解。賢さをほめちゃうと「努力しなくてもいいんだ!」って気持ちが生まれるんで、進歩が止まっちゃうんですな。

 

 

最強の学習法「クイズ形式」が軽んじられている

さらに、

 

  • 60%近くは「クイズ形式の学習は効果がない」と答えた

 

って結果だったそうですが、これも大間違い。クイズ形式の学習法は「検索練習」と呼ばれていて、数あるテクニックのなかでも最強だと考えられております。

 

 

このほか「支持率が高かった間違った学習法」の例としては、

 

  • テキストを何度も読み返す:テキストの再読は受け身の学習法なので、さほど効果がないことが実証されている。テキストを再読するなら、フラッシュカードなどを使ってクイズ形式にしたほうが断然効果は高い。

 

  • 重要ポイントにアンダーラインを引きながらテキストを読む:大量の実験で何度も否定されている(2)。ベストなテキストの読み方は、文章を追いながら「自分の言葉で言い換えてみる」って作業をくり返すこと。

 

みたいな感じ。 かつては私もテキスト再読で勉強してたこともありましたが、近年の研究を見てからはもっぱらクイズ形式です。

 

 

まとめ

ちなみに、「自分の言葉で言い換えてみる」の効果については、ブログをやり始めてから実感しました。昔はダラダラ論文を読んでたせいでサッパリ頭に残らなかったんですけど、最近は「これをブログにするとしたらどうまとめるか?」と考えながら文章を追ってるせいで、記憶の定着率が違うんですよねー(それでもかなりの量を忘れますが)。

 

 

今回のはアメリカの調査なんで日本では違った結果が出そうですが、「クイズ形式の効果」とか「正しいテキストの読み方」とかは軽視されてるような気も。この考え方が教育機関に広まるといいんですけどねー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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