新たなスキルを学ぶときは「超短時間の休憩」が役立つぞ!みたいな話
新しいスキルを学ぶには練習が欠かせないのはものの、いっぽうでは適切な休憩も必須。ちゃんと脳を休ませてやらないと、練習で学んだ情報が頭に定着しないんですよね。
で、新しい論文(R)ではさらに進んで「休憩は思ったよりこまめに取らないとスキルは定着しないぞ!」って結論になってておもしろいです。まずは結論から引用すると、
「『練習!練習!練習!』これこそが、新たなスキルを学ぶ際のコツだとみんな思っている。しかし、今回の実験でわかったのは、すばやくこまめな休憩が、練習と同じぐらい重要だということだ。
みたいになってます。休憩の大事さは従来から言われてたものの、実は予想をはるかに超えて大事なんじゃないの?って話ですな。
これはアメリカ国立衛生研究所の実験で、27人の健康な男女が対象。彼らに「利き手とは逆の手を使って、画面に表示された数字をタイピングしてね!」とお願いしたんだそうな。
その際、すべてのタスクは以下のような感じで行われてます。
- 10秒間のタイピングトレーニング
- 10秒の休憩を挟む
- ステップ1〜2を35セットくり返す
というわけで、なんだかHIITと似たようなデザインになってますね。インターバルトレーニングの考え方が、新たなスキルを学ぶ際にも役立つとしたらおもしろいですよねぇ(この研究の問題意識とは異なりますが)。
でもって、さらにタイピング中の被験者の脳をスキャンしてみたところ、こんなことが明らかになりました。
- どうやら、新たなスキルを練習している最中よりも、実は休憩中にスキルが定着してるっぽい!
なんでこんなことがわかるかというと、タスクの実践中よりも休憩中のほうが脳が活性化してたからです。研究チームいわく、
被験者の脳波は、タイピング中よりも休憩中により変化していた。
ってことで、なんでも休憩中のほうが記憶の強化にかかわる脳の活動パターンが見られたんだとか。スキル学習にもインターバルトレーニングは効くのかもですなぁ。
この結果は、新たなスキルを学ぶにあたって、休憩タイミングの最適化と休憩インターバルの適切な配置が重要なことを示している。もちろん、この結果が異なるタイプの学習にも適用できるかはわからないが。
もちろん、これは運動系スキルについてしか調べてないんで、果たして英単語の記憶とか数学の解法学習とかにまで意味があるのかはよくわからんところです。もし効果があるとしても、数学などは理解にある程度の時間が必要なんで、もうちょいインターバルは長めにしなきゃならんでしょうが。
いずれにせよ、「もっとこまめに短時間の休憩を取ってみては?」ってのは興味深い提案なので、私も格闘技の練習などに取り入れてみたいところです。