今週の小ネタ:歯磨きしないと脳がやられる?、人間の創造性のピークは人生に2回?、ストレス食いのダメージ
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
口の中をキレイにしとかないと脳にダメージがいくぞ!
まずはルイビル大学の研究(R)で、結論から言うと「歯を磨かないと頭がボケるかもだ!」みたいな内容です。
これはマウスを使った実験で、動物たちを観察して、ポルフィロモナス・ジンジバリスって細菌の動きをチェックしたんですよ。こいつは歯周病菌の原因になる細菌で、口の中のフローラに影響をあたえて炎症などを引き起こすと考えられてるんですな。
で、この観察でなにがわかったかと言いますと、
- 歯周病菌の細菌は口から脳に移動する!
ってことです。うーん、怖すぎる。
もちろんマウス実験なんでどこまでヒトに適応できるかはわからんのですが、アルツハイマーにかかった患者さんの脳サンプルを調べると、通常よりもポルフィロモナス・ジンジバリスの量が多かったそうで、なんとも恐ろしいもんです。
いずれにせよ、口内の衛生が脳の健康にも結びついているってのはよく聞く話ですんで、頭の働きを守るためにも歯は良く磨きましょうねーってことでひとつ。
人間の創造性のピークは人生に2回ある?
お次はオハイオ州立大学などの研究(R)で、こちらも結論から言うと「人間の創造性のピークは人生に2回あるかもだ!」みたいな内容です。
これはノーベル経済学賞を取った学者さんたちの業績を分析した研究でして、ざっくり次の傾向が浮かび上がったんだそうな。
- 斬新な理論を生み出した学者は、だいたい20代半ばで圧倒的な成果を生み出している
- 実証分析で評価された学者(ピケティみたいに膨大なデータから大きな結論を出したりとか)は、50代の半ばで圧倒的な成果を生み出している
数学みたいに抽象的な能力が必要な分野は若い人のほうが有利!ってのは昔からよく言われてたことですが、やっぱここでも似たような方向性が出てますねー。
研究チームいわく、
創造性のピークが人生の初期に訪れるかどうか、または後期に訪れるかどうかは、あなたのキャリアが概念的なアプローチを取っているか、それとも実験的なアプローチを取っているかで変わる。
とのこと。まぁ斬新なアイデアを生むには既成概念を壊さにゃならんので、経験が浅い若者のほうが有利ってのはわかる気がいたします。いっぽうで実証主義者は大量の知見をゆっくりと積み重ねなきゃいけないんで、どうしても時間がかかるでしょうしねぇ。
ストレス食いのダメージは想像以上にデカいかも!という話
最後はセルメタボリズムに出てた論文(R)で、簡単に言えば「ストレス食いは思ったよりヤバいぞ!」みたいな内容です。イライラしてお菓子を食べるのが体に悪いのは言うまでもないですけど、この研究によると、
- ストレスを感じながら食事をすると、普通に食事をするよりインスリンの分泌量が10倍になる!
かもしんないらしいんですよ。ご存じのとおり、インスリンは脳に「満腹だよ!」みたいなシグナルを送る働きもしてますんで、この状態が続けば、
- インスリンが多すぎて脳が反応しなくなる
- インスリンがいくら出ても満腹感を感じなくなる
- 食べ過ぎにつながる!
みたいな流れが想定できるわけっすね。
といっても、まだこれは動物実験の段階でして、
- わざとストレスをあたえたマウス
- ストレスフリーなマウス
の2種類から得られた知見であります。そこらへんはご注意くださいませ。
ただし、ここらへんのメカニズムはヒトでもかなり近いんで、ストレス食いにより従来考えられてきた以上の悪影響がもたらされる可能性はデカそうな気がいたします。いずれにせよイライラを抑えるために食事をするのは止めたほうがいいでしょうねーってことで。