マジメで外向的な人ほど寿命が長いのは"あれ"が理由だった!という観察研究の話
人の寿命は性格で決まる!みたいな考え方が昔からあるんですよ。寿命とパーソナリティのデータで分析すると、結構な相関が出るケースが多いもんですから。
特によく言われるのは「誠実性」で、この特性が強い人ほど老化が遅い可能性が指摘されてたりします。要するに、マジメでコツコツやれるような性格の人ほど長生きな傾向があるってことですね。
ただし、ここでまだ謎なのは、なんで特定の性格が長生きに結びついてるのか?ってところです。なんとなく「マジメな人は食生活もきちんとしてるのでは?」とか「マジメな人はちゃんと健康診断を受けるからでは?」とか言われてきたんですけど、これといった結論があったわけではないんですよ。
といったところで、新しい研究(R)は、「なぜ特定の性格で寿命が延びるのか?」ってところを深堀りしてくれてて有用でした。
これはウエストバージニア大学の研究で、アメリカの国民中年期調査っていうデータセットを使ったものです。参加者の数はだいたい4,000人で、各自のパーソナリティやライフスタイルが細かく記録されてるんですな。
研究チームいわく、
睡眠の質は、長生きとパーソナリティに影響を与える。しかし、現時点まで睡眠とパーソナリティと健康をつなぐ経路について調べた研究はない。
とのこと。で、ここで何がわかったかと言いますと、
- 誠実性の低さは睡眠の質の低下と大きく相関していた!
だったんだそうな。つまり誠実性が高い人の寿命が長いのは、睡眠の質が高いおかげではないのかってことですね。
もうちょい詳しくデータの内訳を見ていきますと、
- 睡眠時間が長くても短くても早死にのリスクは高まる(このデータだと睡眠が7時間以下の場合と、睡眠が9時間以上の場合は早期死亡率が10%高くなる)
- 誠実性が低い人ほど睡眠の質が低く、起きても疲労感が残ったままになりやすかった
だったそうです。まだ確定ではないもの、確かにある程度までは「誠実性が低い人は睡眠の質も低いから寿命が短い」って説が正しそうな気もいたします。
さらに、他のパーソナリティについても書いておくと、
- 神経症傾向が強い人もやはり睡眠の質が悪く、そのせいで寿命が縮まっている可能性が高い
- 外向性が低い人も日中の疲労感が強い傾向があり、寿命に悪影響が出ている可能性が高い
- 協調性が高い人は睡眠時間が短い傾向があり、やはり寿命が短い
みたいな傾向も出ております。いずれかのパーソナリティをお持ちの方はご注意ください。
もっとも、この研究は「なんで特定のパーソナリティを持つ人は睡眠の質が低いの?」ってとこまでは調べてないので、そこらへんの理由は謎ではあります。まぁざっくり推測すると、
- 誠実性が低い=セルフコントロールのスキルが低いので、ベッドに入ってからもスマホのゲームとかをやりがち
- 神経症傾向が高い=そもそも不安になりがちなので、夜中に眠れなくなっちゃう
- 外向性が低い=外向性が低いと活動的ではなくなるため、睡眠の質が下がっちゃう
- 協調性が高い=他人に合わせようとするあまり、生活リズムが乱れがちになっちゃう
みたいになるんでしょうか。協調性と寿命の相関を示したデータって初めて見たんで、ちょっと驚きましたねー。
もちろん、特定のパーソナリティで寿命が延びる理由は他にもありましょうが(例えば誠実性が高い人はタバコを吸わない傾向がある)、「睡眠の質の影響がもっとも大きいかも?」ってのはあり得る仮説かと思います。私も神経症傾向が高くて外向性が低い人間なので、そのへんは気をつけないと……。