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「鍛えたい筋肉に意識を向けると筋肉が増えるよ!」ってアドバイスを正しく活かすためのトレーニング法

 

筋トレマニアの世界では、よく「鍛えたい筋肉に意識をむけよう!」みたいなことを言うわけです。ベンチプレスのときは胸に集中し、スクワットの時は太ももを意識しながらトレーニングをした方が筋肉が育ちやすいって考え方ですね。俗に「マインド・マッスルコネクション」などと呼ばれております。

 

 

で、新たにマインド・マッスルコネクションがどこまで使えるのか?って問題を調べたデータ(R)が出てましたんで、メモしときましょう。

 

 

これは27人の若い男性を対象にした研究で、みんなに8週間の筋トレをしてもらったあとで、筋肉の厚みがどう変わったか?筋力はどう変化したか?を調べたものです。

 

実験では全体を2つのグループにわけまして、

 

  1. インターナルフォーカス:「いま太ももの筋肉に力が入ったな……」みたいに筋肉の変化や体の動きに意識を向けるパターン
  2. エクスターナルフォーカス:「いま足が地面から離れて、ウェイトが上がって……」みたいに筋トレの環境に意識を向けるパターン

 

といった感じでトレーニングを進めてもらったそうな。「インターナル」と「エクスターナル」の2つはマインド・マッスルコネクションの代表的な手法で、過去の研究では、エクスターナルの効果について調べた実験のほうが多かったりします。

 

 

参加者が行ったメニューはバーベルカールとニーエクステンションの2つで、トレーニングのペースは週に3回ずつ。各メニューは8〜12回を4セットずつ行ったとのこと。

 

 

また、それぞれのグループに与えられた指示の内容も紹介しとくと、

 

  • インターナルフォーカス=「もっと筋肉に力を込めろ!」と自分に命令する
  • エクスターナルフォーカス=「もっと素早くウェイトを上げろ!」と自分に命令する

 

みたいになってます。

 

 

では、8週間後にどのような変化が起きたかというと、こんな感じです。

 

  • ヒジまわりの筋肉は、インターナルフォーカスのほうが増えていた (12.5% vs. 7.46%)
  • 足の筋肉については両グループに差はなかった
  • 腕の筋力については、インターナルフォーカスのほうがやや増えていた (9.32 vs. 1.61Nm)
  • 足の筋力については、エクスターナルフォーカスのほうがやや増えていた (57.34 vs. 29.09Nm)

 

うーん、なかなか複雑。ハッキリと違いが出たのは腕の筋肉ぐらいで、あとは有意差はなしとの結果であります。

 

 

ちなみに、インターナルフォーカスで腕の筋肉だけ増えやすくなった原因としては、

 

多くの人は足より腕のほうが意識を向けるのが得意だからじゃない?

 

との推測がなされてましたが、そんなもんすかねぇ。

 

 

そんなわけで、個人的な雑感としては、

 

  • 多関節で高負荷のエクササイズはエクスターナルフォーカスが向いてるかも(これは、今回の論文についてたレファレンスを見て思ったことですが)

 

みたいな感じっすね。私も普段はインターナルフォーカスを意識してたんですが、基本的に多関節のエクササイズが多いので、エクスターナルフォーカスを使ったほうが良い気がしてまいりました。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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