デジタルデバイスの使用を断つと、人にはどんなメリットとデメリットが現れるのか?
今度出る「ヤバい集中力」って本では、「デジタルはやっぱ避けたほうがいいよねー」みたいな話を結構書いてたりします。当たり前ですが、いまの世の中じゃデジタルデバイスが人間の集中力を削いでるのは間違いないですからねー。
というわけで、近年は「デジタル断食」みたいな言葉も流行りつつあるわけです。一定の期間だけ完全にデジタルデバイスとの接触を絶ってみようではないか、という考え方ですね。これは私も定期的にやってまして、なかなかのストレス解消効果を実感しております。
で、新しく出た論文(R)は、「デジタル断食をした人は、どんな感情の流れを体験するの?」ってとこに焦点を当てていておもしろかったです。これはイーストアングリア大学などの調査で、まず研究チームの問題意識はこんな感じ。
多くの人たちは、テクノロジーとの絶え間ない接触に飽き飽きし始めており、そのせいでデジタルフリーのトレンドが流行しつつある。それでは、実際にデジタルフリーを行なった人は、その過程でどのような感情の波を体験するのだろうか? そのような感情の流れを理解できれば、これからデジタルフリーを実践する人の助けになるだろう。
いったんデジタルを絶ってみたら、人間はどんな反応を示すの? すぐにメリットは得られるの? それとも禁断症状みたいなのに襲われるの? ってあたりを調べてくれたわけですね。確かに、デジタル断食中に起きる変化を知っておけば、心の備えができるでしょうからね。
そこで研究チームは24人の男女を集めて、彼らに「旅行中にデジタル断食をしてください」と指示。全員に最低でも24時間以上のデジタル断食をしてもらったうえで、彼らの日記やインタビューなどをベースにどんな変化が現れたかをチェックしたんだそうな。
その結果、たいていの人がどんな感情の流れをたどったのかと言いますと、
- まずはデジタル断食の禁断症状が起きる(なんとなく不安だったり、所在ない気持ちに襲われたり)
- やがてデジタルがない状態を受け入れる気持ちになる
- あきらめの後に大きな自由の感覚が爆誕
- より周囲の環境や旅仲間とのコミュニケーションに集中できるようになる
- 家にもどって再びデジタルに触れると、あまりの情報量の多さに圧倒される
みたいな感じだったそうな。基本的にはまず不安感が起きるんだけど、それを抜ければ開放感が生まれ、より旅行を楽しめるようになるらしい。
インタビューをみると、「最初はグーグルマップを使えなくて不安になったけど、そのおかげで逆に地元の人との会話が生まれて、良いアドバイスをもらえた!」みたいなコメントがありまして、「あーなんかわかるなぁ……」と思いました。研究チームいわく、
多くの参加者は、メッセージや通知、アラートなどに気持ちを乱されなくなったおかげで、より注意深くなり旅行先の体験に集中できるようになっていた。
ってことで、シンプルに旅行を楽しむ意味でもデジタルを断つのはよさげ。「デジタルなしでどれだけ良い店を探せるか?」みたいなゲームにしちゃうと、禁断症状もまぎれて良さそうっすね。