15件のメタ分析をもとに「卵はどれぐらい安全なのかを徹底的に調べたぞ!」というアンブレラレビューのお話
「卵は体にいいのか悪いのか?」って議論は今も続いてまして、個人的には「毎日食べても別に問題ないでしょ」と思ってますが、一方では「週3個以上でもヤバい!」みたいなデータもあったりして、どうにも判断に困ってしまうところではあります。
が、新しいデータ(R)は、この卵問題についてかなり徹底的な研究を行ってくれてまして、かなり参考になる内容でありました。
これは「卵で心疾患のリスクは上がるか?」って問題について調べた先行研究をガッツリとまとめたアンブレラレビューになってまして、
- 7件の系統的レビュー
- 15件のメタ分析
をさらにまとめ上げてくれたんだそうな。かつてない規模のデータをあつかってまして、これは内容に期待が持てますなぁ。
で、まずは全体的なデータの質から言いますと、
- 基本的に卵に関する系統的レビューは質が低い
- 一方でメタ分析の方は中程度から高いレベルのクオリティを持つものが多い
といったところでして、メタ分析のほうにはなかなか信頼がおけそうであります。
というわけで、その結論をざっくりまとめますと、
- 全体的に見れば、健康な人が卵で心臓病や脳卒中のリスクが上がる可能性は低い
- ただし卵と心不全の相関を示したメタ分析が2件存在する(この2件は同じコホート研究を分析している)
- 直近に出た5件のメタ分析では、卵と糖尿病の相関が確認されなかった(ただし、なぜかアメリカ人をベースにしたデータでは相関が報告されている)
- 2013年より前のメタ分析では、二型糖尿病の患者さんは卵で心疾患リスクが上がる可能性が指摘されている
- アテローム性動脈硬化症に関するメタ分析も、全体的に卵との相関はないと報告している
- 卵の消費量が増えると高血圧のリスクは減る可能性がある
みたいになってます。こりゃまた判断が難しい内容ですが、すごーくざっくりまとめると、
- 一部条件付きで、基本的に卵の消費量が増えても心疾患の心配はなさそう(ただし糖尿病の人などは別)
ということは言えそうな気がしますね。
まぁ今回のデータについては、個々の卵がどのように調理されたかがわからなかったり、それぞれの研究のデザインが違いすぎるって限界もありまして、もしかしたら今後の展開でひっくり返る可能性もなくはないです。が、これが現時点ではかなり優良なデータなのも間違いなく、またひとつ卵には有利な材料が出てきた感じじゃないでしょうか。
ちなみに、このアンブレラレビューだと、「じゃあ卵はどれぐらい食べていいの?」ってとこまではわからんのですが、RCTをまとめた直近のデータ(R)なんかを見てますと、
- 健康なライフスタイルを送ってる人であれば、週に6〜12個までは何の問題もないんじゃない?
って感じになってます。個人的には1日に2〜3個ぐらい食べてたりするんですけど、安全策を取りたい方はこのラインを守るのが良いかもしれません。どうぞよしなに。