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今週半ばの小ネタ:体力が増えやすい歩き方、金持ちの振る舞い方、金持ちのほうが長生き説

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
 

 

 

インターバル速歩で体力が向上しまくる?

インターバル速歩で体力が向上しまくるぞ!」というデータ(R)が信州大学から出ておりました。

 

 

ご存じの方も多いかと思いますが、「インターバル速歩」ってのは日本で生まれた運動法で、

 

  1. ゆっくり3分歩く
  2. すばやく3分歩く(本人が「ちょっとキツいな……」と感じるレベル)
  3. ゆっくり3分歩く
  4. すばやく3分歩く
  5. ゆっくり3分歩く

 

って感じで、ゆるいウォーキングと素早いウォーキングを交互に行うのがポイント。このやり方を使うと、普通のウォーキングよりも体力がつきやすいと言われてるんですよ。

 

 

で、この新しい研究では679名の中高年者(平均年齢65歳)にインターバル速歩を指導して、5ヶ月ほど続けてもらったんだそうな。インターバル速歩の時間は週の合計が60分以上になるように指導したとのことであります。

 

 

その結果、どんな違いが確認されたのかと言いますと、

 

  • 早歩きを1週間で50分行うと体力(最高酸素摂取量)がガッツリと向上するが、それ以上は効果が頭打ちになった

 

だったそうです。なんでも、体力の向上は1週間に行った早歩きの合計時間に完全に比例してたみたいなんですな。

 

 

まぁ65歳前後の方を対象にした実験なので、どこまで若い人に適用できるかは不明ではありますが、気になる方は意識的に「ちょいキツめなウォーキングの量を増やす」ってのを取り入れてみるのもいいかもしれません。インターバル速歩についてさらに詳しい話を知りたい方は、「ウォーキングの科学」などをどーぞ。

 

 

 

ボディランゲージで金持ちか貧乏かがわかる?

ボディランゲージで金持ちか貧乏かがわかる!」みたいなデータ(R)が出ておりました。

 

 

これは106人の男女を対象にした研究で、ざっくり実験デザインをまとめておくと、

 

  1. みんなにインタビューを行い、その様子を動画で撮影
  2. 会話中に参加者がどんな身振り手振りをしたかをチェック
  3. ボディランゲージのデータを、それぞれの社会経済的地位とくらべる

 

みたいになってます。それで、どんな傾向が確認されたのかと言いますと、

 

  • 金持ちの親を持つ参加者は、貧しいバックグラウンドを持つ参加者よりも、非エンゲージメントな振る舞いが多かった
  • 動画を第三者に見てもらったところ、結構な確率で参加者の社会経済的地位を判断することができた

 

だそうです。「非エンゲージメントな振る舞い」ってのは、会話中に自分のアクセサリーをいじったり、なんとなく落書きをしてみたりとか、いまいち話に集中してなさげな行動のことです。なんか嫌味な感じがしますけど、それが金持ちに特有の振る舞いってことなんでしょうかねぇ。

 

 

研究チームいわく、

 

社会経済的地位が高い人たちは他人に依存しなくてもよいため、社会的なコミュニケーションのあいだにも非言語的な行動として現れるのだろう。

 

とのことでして、金持ちは他人の手助けがいらないぶんだけ、非エンゲージメントな振る舞いが増えるのではないか?と予想しておられます。まぁアメリカの実験なんで、日本文化だとまた違った結果になるのかもですが、なかなかおもしろいもんですな。

 

 

金持ちのほうが10年長生き?

最後はイギリスで行われた研究(R)で、「金持ちのほうが長生きだ!」ってなみもふたもない結論を出した内容になっております。具体的にはイギリスの国勢調査を使ってまして、2001 〜 2016年のあいだに命を落とした765万人分のデータを処理したそうな。

 

 

そこで、どんな傾向が見てとれたかと言いますと、

 

  • もっとも裕福なグループともっとも貧しいグループを比べた場合……
    • 女性:2001年における平均余命のギャップは6.1年で、2016年の時点では7.9年に拡大
    • 男性:2001年における平均余命のギャップは9.0年で、2016年の時点では9.7年に拡大

 

だったそうで、男性の場合は金持ちと貧しい人のあいだで約10年も寿命に差があるというイヤーな結果になってますね。

 

 

寿命の格差が拡大している理由はよくわからんのですが、研究チームいわく、

 

勤労所得は低迷し、給付も削減され、多くの家族がフードバンクを利用せざるを得なくなっている。 新鮮な果物や野菜などの健康食品は、不健康な加工食品に比べて価格が上がり、最も貧しい層には届かない。

 

とのことで、やはり経済格差のせいで健康的な性格ができないのでは?と推測されておりました。もちろんイギリスの調査なので日本に当てはまるかは不明ながら、似たような状況は起きてそうな気もしております。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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