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太陽の光を浴びると腸内環境が改善するぞ!(ただしビタミンD不足の人に限る)という小規模実験のお話

 

パレオダイエットでは「太陽の光を浴びようね!」ってのが大きなテーマのひとつだったりします。もちろん日の光はお肌にはよろしくないものの、あんまり浴びなさ過ぎも良くないもんですから。そこらへんのバランスはかなーり大事。

 

 

で、新しいデータ(R)もちょっとおもしろくて、結論から言えば「太陽の光を浴びると腸内に良い影響があるぞ!」みたいになってます。アンチエイジングにおいて腸内環境が大事なのは「最高の体調」でも強調したところですが、実はここに太陽の光が大きく関わってるのではないか?ってことで、視点が新しくていい感じですねー。

 

これはブリティッシュコロンビア大学などの研究で、21人の健康な女性が対象。実験では参加者に以下のようなテストを行なっております。

 

  1. 全身に60秒だけUVBを浴びる
  2. この作業を1週間に3回行う
  3. 血液と便のサンプルを調べて腸内環境の変化をみる

 

UVBはご存じ紫外線の一種で、日焼けとかシミのおもな原因になるやつっすね。

 

 

ちなみに、ここでは参加者のタイプを2つにわけてまして、

 

  • 普段からビタミンDのサプリを飲んでいる人(つまり体内のビタミンDレベルが十分な人)
  • ビタミンDのサプリは飲んでない人(つまり体内のビタミンDレベルが足りてない人)

 

って感じでそれぞれの違いを見ています。つまりこの研究チームは、「ビタミンD不足のせいで腸内環境が乱れることがあるんじゃないの?」って仮説を立ててたわけっすね。

 

 

さて、それでどんな違いが確認されたのかと言いますと、

 

  • ビタミンDサプリを飲んでいない人たちは、UVBを浴びることで腸内細菌が増えていた!

 

だったそうです。逆に普段からサプリを飲んでいた人にはUVBによる変化は確認されなかったとのことで、こりゃ興味深い話ですなぁ。

 

 

研究チームいわく、

 

(UVBの照射によって増えたのは)ラクノスピラ科と呼ばれるバクテリア だ。先行研究によれば、この菌は炎症性の疾患に悩む患者の腸内細菌とくらべて、健康状態の改善と相関することが示されている。

 

ってことで、紫外線により腸内細菌の多様性が増す可能性が指摘されておりました。

 

 

では、なんで紫外線で腸内細菌が増えるのかと言えば、

 

  1. 太陽の光を浴びないと体内のビタミンDレベルが減る
  2. ビタミンDが減ると体が炎症を起こしやすくなる
  3. 炎症が腸内細菌を破壊する(これは健康体の人でも起こり得る)

 

ってメカニズムが考えられるからです。ビタミンD不足が腸内フローラの悪化につながっちゃうわけですね。まぁこれは小規模な研究なんでまだまだ追試が欠かせないものの、ビタミンDと腸内細菌の関係性は昔からよく言われてることなんで、気にしておくといい感じです。

 

 

ちなみに、あともうひとつ「サプリを飲んでおけばOKなの?」って問題もあるわけですが、過去には「結局のところサプリは太陽光に勝てないのでは?」って報告も出てまして、ここらへんは悩ましいっすね。個人的には、

 

  • どうしても外出できないときはサプリを使うが、それ以外はやっぱ外出を心がける(もちろん日焼け止めは使いつつ)

 

ぐらいのところに落ち着いてますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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