「痩せられない人は、とにかくカロリーの見積もりが甘いのでは?」という古典的な実験のお話
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基本的に新しめのデータばかり取り上げてる当ブログ。が、たまには古典的なリサーチを紹介するのもいいのではないかと思いまして、今回は1992年の有名なデータ(R)を見てみようかと。
この実験のテーマをひとことで申し上げますと、
- 「自分はこれだけ食べた!」という自己申告は、実際のカロリー摂取量とどれだけ食い違ってるのか?
ってポイントです。ダイエット中に「晩ご飯は900kcalぐらい食べたかなー」とか思いつつ食事をしている人は少なくないでしょうが、果たしてその見積もりは正しいのか?という話っすね。古い研究ながらもかなり普遍的なテーマを扱ってるんじゃないかと。
では、具体的にどんな実験だったかと言いますと、
- 肥満に悩む男女10人(うち9人が女性)を集め、運動量、代謝、日々の消費カロリーと摂取カロリーを調べる
- 減量に悩んだことがない男女も集めて、やはり同じように日々のカロリーをチェック
- みんなの「自分はこれだけ食べた!」って自己申告と上のデータを比較する
みたいな感じになります。なんでこういう研究をしたのかというと、「どうしても痩せられないんです!」という悩みを抱えた人たちに対して、従来は以下のような仮説が立てられてきたからです。
- 代謝が低すぎるから?
- 運動量が少ないから?
- カロリー制限してるのに、実際は食べてるから?
いずれもありそうな考え方ですが、果たしてどれが正しいのか?ってことですね。
それでは、結果を見てみましょうー。
- 肥満の人たちは、別に取り立てて安静時代謝が低いわけでなかった
- 肥満に悩む人たちは、平均で「今日は1028kcalしか食べてない!」と見積もっていたのに、実際は平均で1日2081kcalも食べていた!
- さらに、肥満に悩む人たちは「身体活動で1日1022kcalは消費してるでしょ!」と考えていたが、実際は平均で771kcalしか消費していなかった
だったそうな。なぜか痩せられない人たちは、食事からとるカロリーを47%も低く考えて、運動の消費カロリーを51%ほど多く見積もってたわけっすね。これは確かに痩せづらくなるでしょうなぁ。
といっても、ダイエットに悩んでいない人たちの見積もりが正しいかと言えばそんなこともなくて、
- ダイエットの問題がない人も、摂取カロリーを19%ほど低く見積もり、運動の消費カロリーを30%ほど高く見積もっていた
だったそうです。とにかく人間は「自分はそんな食べてない!」と思いたいし、「今日はよく動いた!」と思いたい生き物なんじゃないか?ってことですね。これは身にしみる結論だなぁ……。
まぁ小規模な実験なのでどうしても研究としての限界はありますけど、「とにかく人間はカロリーの見積もりが甘い」ってのは複数のデータ(R,R)でも確認されてるとこですんで、押さえておきたいポイントではないかと思う次第です。