軽度の炎症で脳の働きがガッツリ下がるぞ!という最近の研究2選
https://yuchrszk.blogspot.com/2019/12/2.html
当ブログでは定期的に「慢性炎症は怖いですよねー」みたいな話をしております。慢性炎症?なにそれ?という方は「あらゆる不調を引き起こす「慢性炎症」の話」をご覧いただければと思いますが、近年では病気の原因になるのはもちろん、うつ病や思考力の低下などを引き起こすとまで言われてるんですよ。怖いですねぇ。
そんなわけで炎症関連の話題を優先的にチェックしてたら、最近もまた興味深いデータが2つほど出てましたんで、概要をまとめておきます。
軽度の炎症で脳の働きがスローに
まずひとつめはバーミンガム大学などの研究(R)で、まずざっくりした結論はこんな感じです。科学者たちは、長い間にわたって炎症と認知との関連性を疑ってきたが、その原因と影響の関係を明確にはできていなかった。私たちの研究は、炎症によってはっきりと影響を受ける脳内のプロセスを特定した。
これまでも「炎症が脳の働きを下げるのでは?」って報告はいろいろあったんだけど、ついに明確な証拠が出てきたよ!みたいな話ですね。これまでは炎症で脳がやられるのか、脳がやられたせいで炎症が起きるのかがはっきりしてなかったんで、まことにありがたいことです。
で、これがどんな実験だったと言いますと、
- 軽度の炎症を引き起こす物質を参加者に注射する
- いろんな認知テストを受けてもらいつつ、EEGで脳の活動をチェック
みたいになってます。もちろんプラシーボ群も作ってて、こちらには炎症が起きないニセの注射をしたとのことです。また、参加者の炎症レベルはインターロイキン6の量でチェックしたそうな。
そこでどんな違いが確認されたのかと言いますと、
- 軽度の炎症が起きた参加者は、脳の視覚的注意の働きが低下した
- 脳波を調べたら、炎症グループはアルファ波(注意に関連)とシータ波(実行機能に関連)も変化していた
だったとのこと。おおまかにまとめると、「軽度の炎症で脳の働きがスローになった」わけですな。
研究チームいわく、
これらの結果は、脳ネットワークの特定のエリアが炎症の影響を受けていることを明らかにした。これはブレインフォッグの原因なのかもしれない。
ブレインフォッグといえば頭にいつも霧がかかったような状態になることですが、その原因は軽度の炎症にあるのではないか、と。この実験だけだと、まだ脳の他のエリアにどれだけの影響があるかはわからないものの、ぜひ注意しておきたいポイントっすね。
軽
ふたつめはハーバード大学医学大学院などのデータ(R)で、まずは結論から言っちゃうと、
- CRPって炎症マーカーが高い人は、どうにも認知機能のパフォーマンスが低いのでは?
って相関を示した研究になります。
具体的には、寛解期(気分が安定した状態)にある双極性障害の方々を対象にしていて、サンプル数は222人。くわえてメンタルが健康な52名をコントロール群に設定しております。
で、どんなデザインの実験だったかと言いますと、
- MCCBっていう定番の認知テストを行い、全員の情報の処理スピード、注意力、ワーキングメモリ、問題解決力などをチェック
- 血液検査でCRPを測り、炎症レベルが高いグループ(≥5 mg/L)と低いグループ(<5 li="" mg=""> 5>
- 体内の炎症と認知テストのスコアをくらべる
みたいな感じです。果たして、炎症レベルの高さは脳機能にどれだけの影響をおよぼすのかをチェックしたわけですね。
そこでどんな結果が確認されたかと言いますと、
広範囲にわたるテストにより、CRPは認識機能に統計的に有意な影響をあたえることが分かった。CRPが5mg/L以上の被験者は、実行機能、情報の処理スピード、推論の能力、問題解決の能力といった指標において、CRPが低いグループよりもパフォーマンスが低い傾向が見られた。
睡眠不足、運動不足、日々の食事など、認知低下をもたらす原因は無数に存在する。が、それと同時に、炎症も重要な要因になるという証拠が多く出てきた。
ということで、やはりCRPの量と認知機能の低下は連動してるんじゃないか?という話です。最近はCRPの量とかチェックしてなかったので、来月あたり久々に検査に行ってみようかな……。
まとめ
そんなわけで近年のデータを見てると、「頭をよくしたかったら炎症を抑えよう!」って仮説がいよいよ正しくなってきた気がしてくるわけです。今回の研究はどちらも炎症を防ぐ方法については触れられてないので、とりあえずは、あたりを参考にしていただければ幸いです。どうぞよしなに。