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今週半ばの小ネタ:幸福感が減る理由、映画の楽しみ方、最悪な上司

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

  

 

 

 

 

幸福に重きを置きすぎると幸福感が減る問題

幸福を求めすぎると逆に幸福から遠ざかる!」って話は以前にも書いたことがありましたが、新たに似たような報告(R)が出ておりました。

 

 

これはイギリスとそれ以外のEU諸国やアジア圏などの人々を対象にしたもので、まずは全員の幸福度を調べたうえで、アメリカ人を対象にした過去の類似調査と比較したんだそうな。なんでこういう調査をしたかというと、

 

  • イギリスやアメリカには、昔から「幸福は最高だ!」と強調する文化がある
  • それ以外の国は、そこまで幸福感を重視する文化はない

 

みたいな違いがあるからです。要するに、各国の文化の違いが個人の幸福度に影響をあたえてるんじゃないかと考えたわけですね。

 

 

でもって、結果は研究チームの予想どおりでして、

 

  • 幸福感を重視する文化で暮らす人々は、ポジティブな体験に集中して味わうのが苦手だった!

 

だったそうです。研究チームいわく、

 

様々な感情を感じつつも、その体験に注意を集中できないことが、ポジティブな経験を味わうことができない現象の主な要因であるようだ。

 

幸福を重視することと抑うつ症状には相関があり、この相関は英国(および米国)の方が他国の参加者よりも有意だった。その違いが起きる理由までは検証していないが、英語圏の文化と他の文化の間には、幸福の体験という点においてギャップがあるらしい。

 

とのことで、やはり幸福感に重きを置きすぎるのも考えものなんでしょうなぁ。

 

 

 

映画を楽しむには期待のコントロールが大事説

映画を楽しむには期待のコントロールが大事だ!みたいなおもしろい研究(R)が出ておりました。

 

 

まずは研究チームの問題意識から紹介すると、

 

私たちの「期待」は映画の楽しみ方に驚くほど影響する。当然のことながら、事前の期待が高すぎれば映画にがっかりする可能性が高まるが、だからといって期待を低くすればいいというものでもないだろう。

 

みたいなことです。映画を楽しむには、もちろんコンテンツの質自体も大事なんだけど、実際には事前にどう期待するかの方が大事かもよ?って話ですね。

 

 

ってことで研究チームは、2017年に公開の映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を見る予定だった441人に協力を依頼。映画を見る前と見た後で、事前の期待と実際の体験がどう違ったかをチェックしたんだそうな。

 

 

そこで何がわかったかと言いますと、

 

  • 参加者の約55%は、スターウォーズ をどれぐらい楽しめるかを正しく予測できなかった
  • 「事前の期待が大」で「映画の内容に失望」した人たちの「喜びレベル」がもっとも低かった
  • しかし「事前の期待が小」な人は、「映画の内容が思ったより良かった」場合でも「喜びレベル」は低下していた
  • 映画を見に行くモチベーションをもっとも左右したのは「ノスタルジー」の感情だった

 

だったそうで、研究チームの予想どおり、事前の期待レベルを低くしたところで映画が楽しめるようになるわけじゃないみたい。

 

 

研究チームいわく、

 

私たちは、未来の自分がどのような感情を抱くかどうかを予想するのが苦手だ。

 

事前の期待のハードルを下げたからといって、映画が楽しくなるというわけではない。否定的な期待がバイアスとして働き、実際には映画の内容が良かったとしても、映画を好きになることはなかった。

 

また、『スター・ウォーズ』のような人気シリーズにおいては、ノスタルジーのほうが重要な役割を果たしているようだ。

 

とのことで、せんじつめれば「映画を楽しめるかどうかは事前に予測できないんだから、気になる作品については何も期待せずにとりあえず劇場へ!」みたいになりましょうかねー。

 

 

 

最悪な上司が優秀なリーダーを生むことがある

最悪な上司が優秀なリーダーを生むことがある!みたいなデータ(R)が出ておりました。

 

 

これは288人と462人ずつのサンプルを使った研究で、だいたいどんなものかと言いますと、

 

  1. ヒドい上司の下でツラい思いをした人の態度や行動をチェックする
  2. 良い上司の下で働いた人の態度や行動をチェックする
  3. 2つのデータを比べる

 

みたいな感じです。そこでどうなったかと言いますと、

 

  • ひどい上司の下についてしまったが、その上司から意図的に距離を置いている人は、部下に対して敬意と優しさを示す傾向が高かった

 

だったそうな。研究チームいわく、

 

上司からヒドいあつかいを受けた従業員の中には、同じパターンを繰り返さないことを決意し、チームの優れたリーダーになるケースがある。今回の研究は、職場で辛い目にあっている人にとって、ちょっとした光明になるかもしれない。

 

とのことで、もちろん決して嫌な上司が良いと言いたいわけじゃないものの、これを反面教師にできる人は意外といるんだなーってことっすね。まぁそうは言っても嫌な上司からはできるだけ遠ざかるべきだとは思いますが。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。