低糖質系パレオダイエット+HIITで体調と脳の働きがグンと改善するかもよ!という実験のお話
個人的に昔からパレオダイエットを推奨してるんですが、なんせ新しめなライフスタイルなんで具体的なデータが少ないのが難点。もちろん先行研究はいくつか出てまして、
といったあたりにまとめたものの、ほかの食事法にくらべればまだまだ検証が必要だよなー、と思っておる次第です。
そんなわけでパレオダイエット系の研究は定期的に集めてるわけですが、近ごろも2つほどおもしろい研究が出ておりました(R,R)。どちらも同じ研究チームによるもので、論文のタイトルをざっくり翻訳すると、
- 糖質制限ダイエットとHIITエクササイズで、メタボな人たちの循環代謝と炎症レベルが改善したよ!
- 糖質制限ダイエットとHIITエクササイズで、メタボな人たちの脳由来神経栄養因子と認知きのうが改善したよ!
みたいになってます。「あれ?パレオダイエット関係なくない?」と思われたかもですが、メソッドの部分を見てみると、
メタボリック症候群に悩む12人の被験者に、クロスオーバーデザインで4週間の介入を2回行った。ここには、パレオダイエットをベースにした糖質制限食(糖質量<50g)がふくまれる。
と書かれてたりするんですよ。何度か書いてるとおりパレオダイエットと糖質制限はまったく別物なんですけど、パレオ食を意識してるとどうしてもタンパク質の摂取量が増えるんで、自然と糖質の量は減る傾向があるんすよね(この実験では糖質を総カロリーの15%に設定しているので、かなり低めですが)。
ここで採用されているパレオダイエットは非常にベーシックなもので、
- 食べるもの:未加工の肉、魚、卵、葉物野菜、根菜、果物
- 食べちゃいけないもの:穀物、乳製品、豆類、精製脂肪、パン類、加糖飲料、ビール、余分な塩と砂糖
- 食べてもいいけど控えるもの:ナッツ類(クルミを優先する)、ドライフルーツ、じゃがいも(1日に中サイズ1個まで)、ワイン(1日1グラス未満)
- カロリー制限はせず、満腹になるまで食べてOK
みたいになってます。全体的に見れば、加工食品の量を徹底的に減らしつつ、健康的なタンパク質と脂肪を増やした感じですね。
さらに、この実験では毎度おなじみのHIITも採用してまして、具体的なプロトコルは以下のようになります。
- 60秒だけ全力でサイクリング
- 60秒のアクティブリカバリー
- 上記のステップを10回くり返す
ってやり方を週に3回ずつ行ったそうな。被験者の数は12人で、
- 糖質制限系パレオ食+HIIT
- 糖質制限系パレオ食+運動はしない
ってパターンにわけて4週間ずつの違いを見てます。
そこでどんな結果が出たのかと言いますと、
▼メタボの変化
- ベースラインと比較して……
- 体脂肪:パレオ食のみ=-7%, パレオ+HIIT=-12%
- 空腹時血糖値:パレオ食のみ=-20%, パレオ+HIIT=-27%
- 善玉コレステロール:パレオ食のみ=+22%, パレオ+HIIT=+36%
- 炎症レベル(CRP):パレオ食のみ=-32% , パレオ+HIIT=-36%
▼脳の変化
- ベースラインと比較して……
- BDNFの量:パレオ食のみ=+20%, パレオ+HIIT=+38%
- 認知の柔軟性:パレオ食のみ=+6%, パレオ+HIIT=+11%
- 自己判断による認知機能:パレオ食のみ=+8%, パレオ+HIIT=+16%
って感じだったそうな。全体的に見れば、糖質制限系パレオ食だけでも体調と脳機能は上がるものの、これにHIITを加えればさらに効果がブーストする感じっすね。たった4週間でもかなり改善するものなんですなぁ。
で、もちろん上記の変化もすばらしいんですけど、個人的に「おっ」と思ったのは、
- どちらのグループも、1日の摂取カロリーが900kcal近く減っている!
ってとこですね。個人的にもパレオダイエットを始めた直後には大きく食欲が減って驚いたもんですが、この数字はなかなかじゃないでしょうか。
って、もちろん小規模な実験だし厳密な比較もできてないので、このデータだと「低糖質パレオ食最高!」とはとても言えないんだけど、「腹いっぱい食べても体と脳が改善する」って可能性は十分なので、メタボにお悩みの方は上記の方法を試してみてもいいんじゃないでしょうか。