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「パレオダイエットってどれぐらい研究が進んでるの?」って疑問に答えるために先行研究をだらだら並べるエントリ#2

Caveman

 

ってことで前回の続きです。

 

 

言わずもがな、このブログはパレオダイエットの解説が主軸なんですけど、そういえば「パレオダイエットにかんする代表的な論文をまとめたことがなかったなー」と思ったんで、ざっくり概観しておくのもいいだろう、と思ったわけです。

 

 

「パレオダイエットってどれぐらい実証データがあるの?」ってあたりが気になる方は、どうぞ参考までに。

 

パレオダイエットのデータいろいろ

パレオダイエットは糖尿病にいいよ!

まずはランド大学の実験(1) で、2型糖尿病に悩む13人に対して、

 

  1. パレオダイエット
  2. 標準的な糖尿食(全粒穀物、野菜、フルーツをたくさん食べよう!でも低脂肪でね!という食事法)

 

という2パターンの食事を3か月ごとに実践してもらったんだそうな。すると、

 

  • パレオダイエットのほうがHbA1c(糖尿病の大事な指標)の数値が改善!
  • ついでに中性脂肪、血圧、体重なんかも改善!
  • 一般的な糖尿食より糖質のコントロール能力もアップ!

 

って結果だったらしい。ちなみに、この研究グループは2013年にも追試(2)をしてて、「パレオダイエットのほうが満腹感が高いせいで摂取カロリーが減り、結果的に糖尿病がよくなるんじゃない?」と推測をしておられます。

 

 

また、糖尿病とのからみだと2015年のカリフォルニア大学実験(3)もいい感じで、

 

  1. 14人の患者さんにはパレオダイエット
  2. 10人の患者さんにはアメリカ糖尿病学会がすすめる食事

 

を指導して14日の経過をみたところ、やはりパレオダイエットのほうが血糖値のコントロール能力が大きく改善してたりします。ついでにインスリンの感受性も改善してて、これまたとてもナイスな成果ではないかと。

 

 

パレオダイエットは腸内のトラブルに効くかもよ!

こちらはペンシルバニア大学の実験(3)で、腸内に免疫トラブルによる炎症を抱えた患者さん15人が対象。ここでは全員に対して、

 

  1. まずは6週間のガッツリパレオダイエット(リブートダイエットに近い)
  2. そこから5週間のゆるやかなパレオダイエット

 

って手順で食事を変えてもらったらしい。その結果、15人中11人が6週間で「ほぼ完治」と言えるレベルまで改善。その後5週間のメンテナンス期でも、好調をキープし続けたそうな。

 

 

まぁコントロール群がないゆるーい実験なんですけど、とりあえず腹の調子に悩んでいる人は試すのもよいのでは。

 

 

パレオダイエットが女性の肥満に効きまくるかも!

こちら(5)は数あるデータでも最長クラスで、肥満体型の女性70人に対して、2年もの介入を行なった精度が高い内容になっております。具体的には、

 

  1. 被験者の半分にパレオダイエットを指導
  2. 残りの半分には北欧栄養勧告が定める健康食を指導

 

って感じで、どちらのグループともカロリー制限は行なっておりません。すると、

 

  • 6か月の段階では、両グループとも同じぐらい体重が落ちた
  • が、12か月目の調査では、パレオダイエットのほうが体重がへり、中性脂肪の数値も大きく改善していた

 

だったそうな。この結果も、やはり「パレオダイエットのほうがカロリーあたりの満足度が高いからでは?」と推測されております。

 

 

また、2016年にウメオ大学が行なった実験(6)もおもしろくて、こちらは健康なんだけど肥満体型に悩んでいる女性70人が対象。全体を「パレオダイエット」と「低脂肪ダイエット」の2グループに分けて、やはり2年の経過をチェックしたんですな。

 

 

結果、6か月時点でパレオグループは脂肪肝が64%改善(低脂肪色は43%)。インスリン抵抗性の改善値も優秀だったそうな。

 

 

西洋化したアボリジニーがパレオダイエットで体調復活!

こちらは1984年に行われた実験(6)で、おそらくパレオダイエット研究の記念すべき第一号だと思われます。

 

 

これは糖尿病に悩む10人のアボリジニーを対象にしていて、全員に対して「一旦西洋的な食事を止めて、伝統的なアボリジニーの食じを試してみて!」と頼んだんですな。具体的には現地でとれるカンガルー、ワニ、ハチミツ、イチジクなどを中心にした暮らしを送ってもらったらしい。

 

 

その結果、被験者に7週間でどんな変化が出たかというと、

 

  • 平均で全員が8キロの減量に成功!
  • 空腹時の血糖値も劇的に改善!(たった7週間で正常値に落ち着いたらしい)
  • ついでに日中の運動量も増えてたよ

 

だったんですな。これもコントロール群がない研究ではありますが、成果はすごいものがありますな。

 

 

もともと健康な人がさらに健康に!

こちら(7)は20人の健康的な男女が対象で、カロリンスカ研究所によるもの。実験期間は3週間で、そのあいだだけ以下の食品を「好きなだけ毎日食べていいよ!」と指示したんだそうな。

 

  • 豆をのぞいた野菜
  • 魚介
  • ベリー類
  • 脂肪が少ない肉
  • コーヒー
  • 無塩ナッツ

 

すると、もとからスリムだった人はさらに引き締まった体になり、血圧が改善し、心疾患のリスクファクターも改善したんだとか。健康診断でOKが出てるような人でも、パレオダイエットにはメリットがあるのかもしれませんなぁ。

 

 

コレステロールが劇的に改善するかも!

 

こちらは東ミシガン大学の研究(8)で、コレステロール値が高いと診断された男女20人が対象。全員に対して「パレオダイエット」と「米国心臓学会の推奨食」を指導して、4か月ずつ実践してもらったみたい。

 

 

結果、パレオダイエットを行なった時期は、

 

  • 総コレステロールの減少
  • LDLコレステロールの減少
  • HDLコレステロールの上昇
  • 中性脂肪の減少

 

といった変化が「体重の減少」とは無関係に現れたんだそうな。これまたナイスな結果ですねー。

 

 

まとめ

ってことでパレオダイエット関連データのまとめでした。実際はおもしろげな研究はまだまだあるんですけど、とりあえず観察研究などをはぶいたら、代表的なものはこんなとこでしょう。

 

 

くり返しになりますが、いずれもデータとしてはゆるいところが多いんで、これをもって「パレオダイエット間違いなし!」とは全く言い切れないのが現状ではあります。そこらへんは今後の研究に期待ってとこですけど、とりあえずパレオ実践者にはモチベーションアップになるんじゃないでしょうか。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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