牛乳やチーズは体にいいのか悪いのか?問題を調べまくったハーバード研究のお話
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牛乳は体にいいのか悪いのか?って問題については過去にもたくさん書いていて、個人的な印象をめちゃくちゃ雑にまとめると、
- いいとこも悪いとこもあるが、全体的に見ればまぁまぁ
ぐらいの感じになってます。一部には「牛乳は悪だ!」みたいな論調もあるんだけど、全体的に見れば「どっちとも言えないけど、健康メリットも確認されてるし飲むのを止めるほどのことはない」ぐらいじゃないでしょうか。
そんな状況下、ハーバードの先生方が新しく「牛乳と健康」ってテーマで過去のデータをレビューしてくれていて(R)、これが非常に良い感じです。上述のとおり牛乳が体に与える影響は複雑なので、ここでは「アレルギー」や「血圧」といった各テーマごとに現時点での結論をチェックしてくれていて、参考になるんですよね。
全体がわりと長いので、このエントリでは各論の肝をひたすら並べていくことにします。
死亡率への影響
- 29の観察研究をまとめたメタ分析により、牛乳や乳製品をとる量が多くても全死亡率には関係がなかった(高脂肪と無脂肪を問わず)
- 3件の大規模な観察研究(追跡期間が30年超)のメタ分析では、全乳飲み死亡率の増加と相関していた(低脂肪乳とチーズは無罪)
体重への影響
- 牛乳と乳製品を飲んでも体重は減りもしないし増えもしないと思われる
- ヨーグルトだけは体重の増加を抑える働きがあるっぽい。ただし、もともとヨーグルトを食べる人は健康意識が高い傾向があるので、そのせいかもしれない
癌への影響
- 牛乳を飲むほど前立腺がんのリスクが高くなる傾向は一貫している
- 乳製品の総摂取量と子宮がんリスクにもある程度の相関がある
- 乳製品と卵巣がんリスクに相関はない
- 牛乳を飲むほど大腸がんリスクが下がる傾向がある
血圧への影響
- 牛乳はカリウムを多く含むので血圧のコントロールに役立つ可能性はある。ただし、今の研究は結果がバラバラなので、血圧が低するかどうかはわからない
- おそらく、ジュースや炭酸飲料のように不健康な食品を牛乳に置き換えた場合は血圧に効く可能性は高い。しかし、すでに健康的な食事をしている場合は、牛乳を取り入れても血圧にはプラスにならないかもしれない
アレルギーへの影響
- 乳児の最大4%が乳タンパクにアレルギーを示す
- ある実験では、家族にアトピーの患者がいる乳児は、牛乳を飲むよりも加水分解のタンパク質を与えられたほうがアレルギー疾患または湿疹を発症するリスクが低かった
- 乳糖アレルギーが報告された小児は、豆乳に変えたほうが症状の軽減率が高くなった
コレステロールと心臓病リスクへの影響
- 低脂肪または無脂肪の乳製品は、LDLコレステロール(いわゆる悪玉)を減らすのに役立つと考えられる
- 前向きのコホート研究では、全乳または低脂肪乳は、心疾患や脳卒中の発生率と死亡率を上げる傾向が確認されなかった
骨への影響
- 牛乳やカルシウムの摂取量が多い国では股関節骨折率が高い傾向がある。ただしこれは弱いそう感でしかないので、ビタミンDの状態が問題になっているのかも
- 正直なところ、質の高い研究がないので牛乳を飲んだら骨が強くなるかどうかはよくわからない
- 骨密度を保つために必要なカルシウムの量は少なくてもOKかもしれず、したがって牛乳を飲んでも意味がない可能性はある
糖尿病への影響
- 牛乳が1型糖尿病の発症に関わっているとの説があるが、これはデータ不足でよくわからん。
- メタ分析によれば、乳製品をとると2型糖尿病の発症リスクが下がる傾向があった(ほんのちょっとだけだけど)
雑感
というわけでいろいろ見てきましたが、個人的な雑感としては、
- やっぱ乳製品を積極的にとろう!とまでは言えんなぁ。癌リスクちょっと怖いし
- かといって全死亡率にそこまでの影響があるわけじゃないし、少なくとも発酵系の乳製品に目立った害はなさそうだしなぁ
ぐらいのとこっすね。チーズとヨーグルトは非常に好きなのでおそらく今後も取り続けるでしょうが、牛乳は良質なものをために飲むぐらいかなぁ……。