今週半ばの小ネタ:ドライアイがビタミンDで改善、頭痛に悩んだらヨガ、化学物質がセリアック病を引き起こす?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
ドライアイがビタミンDサプリで改善する?
「ビタミンDが足りないとドライアイになるかもだ!」って結論のメタ分析(R)が出ておりました。
これは天津医科大学の調査で、「血中のビタミンD濃度とドライアイには関係があるの?」ってテーマで行われた過去の研究から 10件をピックアップ。18,919人分のデータをまとめて大きな結論を出してくれております。なかなか信頼性が高い結論でよろしいんじゃないでしょうか。
で、その結論を箇条書きにしてみると、
- ドライアイ患者の平均ビタミンDレベルは健康な人より3.99 ng/ml低かった
- 眼の異常を示す指標もビタミンDが足りてない人ほど高かった(平均差10.70)
だったそうで、ビタミンDが足りない人はドライアイが悪化しやすいし涙が出る量も少ない!って関係がハッキリ出たらしい。
まぁこれだけで「ビタミンDを飲めばドライアイに効く!」とは言えないものの、過去にはいくつか良い結果も報告されてまして、
- 116人のドライアイ患者さんにビタミンDサプリを飲んでもらったら、症状が20%改善したよ!(R)
- 44人のドライアイ患者さんに1日50,000IUのビタミンDを注射したら8週間で症状ガッツリ減ったよ!(R)
といったあたりを見てると、わりと有望な気はしております。ドライアイにお悩みの方はお試しあれー(もちろん主治医に相談の上でね)。
頭痛に悩んだらヨガだ!みたいな実験の話
続いて「頭痛にヨガが効きまくるかもだ!」みたいな実験(R)のお話です。これは全インド医学研究所の調査で、17歳から50歳までの男女114人を集めて、そのうち半分のグループに1日1時間のヨガを週3回ずつ3カ月続けて練習するように指示したらしい。
被験者はみんな偏頭痛に悩んでいる人ばかりで、だいたい月に4〜14回のペースで激しい痛みに襲われる人だけを集めたとのこと。実験のあいだは薬物療法も継続しております。
そして3カ月後の違いを確かめたところ、こんな違いが確認されました。
- 実験前はみんな平均して月に9.1回の頭痛を経験ていたが、ヨガを練習したグループは頭痛の回数が1カ月に4.7回に減った(約48%の改善)
- 薬物療法だけを受けていた患者は1カ月の頭痛が、月に7.7回から6.8回に減った(約12%の改善)
- ヨガを実践した参加者は、薬の使用量も47%減った(投薬のみのグループは12%の削減)
まだ観察研究の段階なので予断は禁物ながら、研究チームいわく、
偏頭痛は最も一般的な病気のひとつだが、薬を服用している人のうち症状が緩和するのは約半数にすぎない。こないの研究は、ヨガが片頭痛の痛みと治療費を減らせる可能性を示している。
とのこと。まぁ今回の調査で使われたヨガは、たんにポーズを学習するだけでなくリラクゼーションのテクニックも合わせて学習しているため、果たしてどの要素が頭痛に効いたのかも謎なんでそこもご注意ください。基本的にヨガはメリットが多いので、よしんば頭痛に効かなくても実践の意味はあると思いますけどね。
ホルモンバランスを乱す化学物質がセリアック病を引き起こす?
「家具とか難燃剤に使われるケミカルを取り込むセリアック病になるかもだ!」みたいな研究(R)が出ておりました。セリアック病は小麦などにふくまれるグルテンに反応して腹痛や疲労が起きる症状で、いまだ明確な対策がない難病であります。
これはニューヨーク大学の研究で、セリアック病と診断された小児と若年成人30人(3歳〜21歳)の血液をチェック。血中にどれぐらい化学物質がふくまれてるかを調べて、同じぐらいの年齢の若者60人とくらべたんだそうな。
そこで何がわかったかと言いますと、
- という化学物質の血中濃度が高い人は、セリアック病と診断される可能性が同年代の人より2倍も高かった
- 女性の場合はPFAS(フッ素化合物)という化学物質とセリアック病に相関が見られた
だったらしい。まぁもはやDDEはほとんど使われてない(伝染病対策ぐらい)し、PFASの規制もだいぶ厳しくなったので、そこまで心配する必要はなさげ。ただし、「この手の内分泌系撹乱物質がセリアック病に関係してるかも?」ってのは、やっぱ気にしておいた方がいいかもしれませんねー。