実際に遅刻をしたら言い訳をすべきか?それともただ謝るべきか?問題
「遅刻しても言い訳をしてはいけない」みたいな考え方があるじゃないですか。「電車が遅れて!」とか「目覚ましが鳴らなくて!」みたいに下手な言い訳をすると怒りに火を注ぐので、スパッと謝っちゃった方が許され安いんじゃないかって発想ですね。
で、近ごろ「実際に遅刻をしたら言い訳をすべきかどうか?」って問題を調べたデータ(R)が出てておもしろかったです。
これはネブラスカ大学などの研究で、560人近くのビジネスマンを集めて、みんなにある会社で行われた会議の様子を撮影した動画を見てもらったそうな。動画の内容はいずれも「ある社員が会議に10分遅れてきた様子」を写したものだったんですが、その後の展開が12パターンに分かれております。その一部を紹介すると、
- 遅刻した人間を同僚が責めまくるバージョン
- 遅刻した人間を同僚が責めないバージョン
- 遅刻した人間が同僚に謝るバージョン
- 遅刻した人間が同僚に言い訳をするバージョン
- 「遅刻した社員は、いつも遅れてくるんですよ」と同僚が説明するバージョン
- 「彼が遅刻するなんて珍しい」と同僚が説明するバージョン
といった感じ。その後、動画を見た参加者たちに、「この遅刻社員の仕事ぶりはどのようなものだと想像しますか?」や「その遅刻社員を会議中に助けたいと思いすか?」(会議のメモをこっそり見せてあげたりとか)などと質問したらしい。
すると、動画のパターンによって遅刻社員への評価は大きく違いまして、
- 謝罪をした社員よりも、言い訳をした社員の方が「良い仕事をしそうだ」と評価された
- さらに、遅刻をした社員に対して同僚たちが特に文句を言わなかった場合、同僚が不満を言った場合よりも「この会社の従業員は質が良い」と評価された
- 全体的に遅刻常習者は「最悪の社員だ」と評価されたが、その場合も遅刻の言い訳をした方が評価は高くなる傾向があった
のような差が確認されそうな。要するに結果をひとことでまとめれば、
-
遅刻した?それなら言い訳だ!謝るよりも先に言い訳だ!
みたいになりましょう。「言い訳をするな!」みたいなアドバイスはよく聞くところですけど、実際にはちゃんと理由を言ったほうが有効なのだ、と。
ちなみに、この研究では2回目のオンライン調査もやっていて、自分が参加した直近の会議を思い出してもらった上で「遅刻した人をどう評価しましたか?」と尋ねております。その結果がどうだったかというと、
- 大半の参加者は、「ただ謝るだけ」や「言い訳をするだけ」の社員よりも「遅刻の言い訳+謝罪」をした社員に高い評価を与えた
だったそうで、言い訳と謝罪を組み合わせたほうが効果が高かったらしい。単に「遅れてすみません」と言うのではなく、どんなショボい理由だろうが必ずセットにしたほうがいいわけっすね。
とはいえ、今回の実験はあくまで「遅刻に対する反応」しか調べていないので、その辺りはご注意ください。例えば2018年の研究(R)なんかだと「謝罪は被害者の攻撃性を弱める働きがある」って結論が出てますし、決して頭を下げるのが無意味ってわけじゃないんで。
とにかく現時点でわかるのは、
- 時間に遅れた場合は、まずは「言い訳」の方を大事にした方がいいのでは?
ってことですんで、遅刻癖がある方は心に留めておくと良さげです。。