ハイレベルな健康食材「ビーツ」で運動能力は上がるのか?デメリットはないのか?という系統的レビュー
「ビーツは栄養価が高いよー。健康食材だよー」みたいな話をよく書いております。ビーツはボルシチに使われる真っ赤な野菜で、この色の素であるベタシアニンやらミネラルが豊富で、非常に使える感じなんですよね。
で、このブログでよく取り上げてるのが、ビーツによる運動のパフォーマンスアップ効果です。これまで紹介したところでは、
みたいになってます。なんせビーツには硝酸塩って成分が多くふくまれるんで、こいつが一酸化窒素を生み出して血管を広げてくれると考えられるんですよね。
近年ではランニングの世界などでもビーツが流行ってて、特にパウダー系とジュース系の伸びがすごいらしい。私は野菜を食べてますけど、味が苦手ならサプリでもいいかもっすね。
といったところで新しいデータ(R)は、「ビーツジュースはどこまで運動に効くの?リスクはないの?」って辺りを徹底的に調べた内容になってて面白いです。具体的には、ビーツと運動パフォーマンスに関する昔の研究から86件の論文をまとめてまして、そのメリットとデメリットについて詳しくまとめてくれたんですな。
そこで、どんな傾向が確認されたのかと言いますと、こんな感じです。
- ビーツジュースを飲むと血圧が下がるので、高血圧の治療に役立つ可能性は高い。特に若くて健康な人に関するデータは多い。
- ただし高齢者の場合はデータ不足なので、ビーツジュースが血圧の改善につながるかはわからない。
- 普通に活動的な男性がビーツジュースを飲むと、運動のパフォーマンスはほぼ確でアップする。もっとも、そのメリットは有酸素トレーニング(ランニングとか)がメインなので、無呼吸で行う活動には意味がなさそう
- ビーツジュースで得られるメリットは、体の疲れにくさ、スプリントのスピード、負荷が高い運動のパフォーマンスアップなどである。しかし、持久力などについては効果が認められていないデータもある
- アスリートレベルで体を酷使してる人の場合は、ビーツジュースを飲んでもパフォーマンスが改善しないかもしれない
- 普通に活動的な女性の場合も、サイクリングなどの有酸素運動のパフォーマンスが上がる可能性は高い。ただしアスリートレベルの人には意味がないと思われる。また、基本的に女性を対象にしたデータは少ない。
というわけで、ざっくり全てを見わたしてみれば、「普通に運動をしている人ならビーツジュースを飲む価値はあるんじゃない?」ぐらいのことは言えそうであります。一部に「効果がない」って報告も出てるものの、データが少ない他のサプリを試すぐらいならビーツを使うほうが先でしょう。
ただ、この論文では「ビーツの過剰摂取によるデメリット」も指摘されていて、具体的にはこんな感じです。
- ビーツにふくまれる大量の硝酸塩は、発癌物質であるニトロソ化合物を作り出す可能性もある!
ビーツで運動のパフォーマンスが上がるのは硝酸塩のおかげなんだけど、その硝酸塩のおかげで発癌物質が生まれるのではないか、と。悩ましい問題ですねぇ。
まぁ現時点ではあくまで可能性の話でして、硝酸塩がどこまで問題を引き起こすかは長期研究がないので何も言えない感じです。多くのデータを見た限りでは、
- 1回あたり250mgの硝酸塩を飲むぐらいならなんの問題もないのでは?
って感じがしてますが、ここらへんは今後の研究待ちっすね。私としては、普通に今後もビーツを食べていくつもりですが。