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筋肉を鍛える前にちゃんと糖質を取ろう!はどこまで重要なアドバイスなのか?問題

 

  

「トレーニング前の食事は大事!」ってのは当たり前のようでいて、実はいまだ議論の多い問題だったりします。

 

 

普通に考えれば、筋トレの前には糖質を取ったほうが筋肉も動きやすくなるように思うわけですが、実際には差にあらず。トレーニング前の糖質量を変えてもスクワットのパフォーマンスには差が出なかったよーってな報告(R)は意外とあったりするんですよ。

 

 

が、もちろん一方ではトレーニングの2時間前に食事をしたグループの方がベンチプレスの回数が増えた!みたいな研究(R)も普通にありまして、どうにも判断しかねるところだったりします。研究の世界ではよくあることですけど、難しいもんですなぁ。

 

 

 

そんな状況下で、新しい実験(R)は、「トレーニング前の食事問題」に新たな視点を加えてくれてて有意義でした。

 

 

これは筋トレ好きな男性22名が参加したテストでして、年齢は23±3歳で体重でだいたい4.7年のトレーニング歴を持ってる人を選んだらしい。実験はクロスオーバー形式になっていて、すべてのボランティアに以下のようなトレーニングをすべてこなしてもらってます。

 

  1. 水だけ:水だけを飲んでから筋トレ
  2. 糖質たっぷり:体重1kg当たり1.5gのマルトデキストリンを取ってから筋トレ(糖質量は120gぐらい)
  3. プラセボ:糖質たっぷりに見せかけたニセドリンクを飲んで(糖質量は2.4gぐらい)

 

筋トレは食事から2時間後に行われまして、スクワットとベンチプレスをそれぞれ10RMの90%で4セットずつ実施。これでパフォーマンスにどんな違いが出るかをチェックしたらしい。要するに、ちゃんと糖質たっぷりの食事をした場合と、実際はほぼゼロカロリーの食事をした場合で、パフォーマンスに違いが出るのか?ってところがこの実験のキモなわけですね。

 

 

でもって、結果はこんな感じになりました。

 

  • 水を飲んだ後に行ったバックスクワットの回数(38±10回)と比べると、糖質を飲んだ後(44±10回)とプラセボドリンクを飲んだ後(43±10回)の方が回数が多かった

 

  • 水を飲んだ後に行ったベンチプレスの回数(37±7回)と比べると、糖質を飲んだ後(39±7回)とプラセボドリンクを飲んだ後(38±7回)では、ほとんど差がなかった

 

  • 糖質をたっぷりとった場合とプラセボを比べてみると、スクワットとベンチプレスのどちらも統計的に意味があるレベルで差は出なかった

 

  • 主観的な食後の満足感を比べてみると、さすがに水の満足感はずば抜けて低い(34±24mm)が、糖質をたっぷりとった場合とプラセボのあいだに有意差はなかった(p=0.18)

 

これまた悩ましい結果ではありますが、今回の結果をざっくり解釈するならば、

 

  • トレーニング前の食事に効果が出るかどうかは、わりと心理的な要素が大きいのでは?

 

って感じじゃないでしょうか。なんせプラセボと比べて、糖質を取った場合に目立った違いが出てるわけでもないんで。

 

 

もちろんメンタルだけが要因だとも思いづらいんですけど、「俺はちゃんとエネルギーを補給したのだ!」って感覚が意外なほど大事なんだろうなーって雰囲気は漂ってますね。まぁ実際のところ何がパフォーマンスアップにつながってるかは謎ですが……。

 

 

ってことで今回の話を大きくまとめるならば、

 

  • トレーニング前の食事は思ったよりも大事じゃなさそうなんで、適当に軽く糖質をとるぐらいでいいのかも?

 

みたいになりますかね。いずれにせよ、トレーニング前の食事はそこまでこだわるポイントじゃないのかもよーってことで。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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