相手にここを直して欲しい!そんな時は「向こうに伝える感情」の種類が大事だぞ!みたいな話
「恋愛関係においては共感がマストだ!」とはよく聞く話であります。パートナーの感情が読み取れないと関係がギスギスするのは当たり前ですもんね。
で、新しい研究(R)では、「他人の感情を読み取る能力は恋愛関係においてどこまで有効か?」ってのを調べてくれておりました。
これはロチェスター大学などのチームによる研究で、交際期間が平均3年ぐらいのカップル111組を対象にしたもの。実験ではみんなをラボに呼びまして、
- パートナーに変えて欲しいことは何ですか?
ってテーマで自由に語り合ってもらったんだそうな。例えば「いつも洗い物を忘れる」とか「すぐに怒る」みたいなことっすね。
その後、すべての参加者には「会話のあいだどんな感情になりましたか?」や「パートナーはどんな感情を抱いたと思いますか?」「指摘を受けたとこを治そうと思いましたか?」ってとこをチェック。さらには全カップルの「関係性の質」やなども調査して、共感力との関係性を調べたとのこと。ありそうでなかった良い研究っすね。
さて、その結果わかったのはこんな感じです。
- パートナーの表情から悲しみ、恥ずかしさ、罪悪感などの感情を読み取るとふたりの関係性は強くなり、改善点を受け入れる可能性も高くなる
- パートナーの表情から怒り、軽蔑などの感情を読み取ると、ふたりの関係性は弱くなり、改善点を受け入れる可能性も低くなる
ってことで、どうやら何でもかんでも共感すればいいってもんでもないみたいっすね。
こういった違いが出る理由はいろいろありましょうが、大きな原因としては、
- 悲しみ、恥ずかしさ、罪悪感は、相手の気持ちを気づかうシグナルとして処理されるから
といったあたりが推定されておりました。研究チームいわく、
相手の問題点を指摘するときに、恥ずかしがったり、罪悪感を表に出すは悪いことではない。これらの感情は、あなたがパートナーを気にかけていることを示すものであり、そこに共感を抱くのは相手にとっても価値がある。あなたが二人の関係を改善しようとしている事実、会話にコミットしている事実、できるだけ相手を傷つけないようとしている事実が、向こうに伝わるからだ。
もちろん、この時にパートナーが恥や悲しもの感情に深く共感するほど、二人の関係はより建設的なものになる。
とのこと。悲しみ、恥、罪悪感などの感情は、相手に「この問題提起があなたを傷つけるかもしれないことに、私はちゃんと気づいています」ってサインを与え、これは向こうの心をときほぐすわけっすね。
一方で、怒りや軽蔑のような感情は、相手にとっては支配的なシグナルとして処理される。これでは二人の関係は揺らぐばかりだろう。
どんなに最高の関係でも、パートナーとは必ず衝突が起きる。そんなときはパートナーに変化を求めるのがひとつの手だが、怒りなどの脅迫的な感情で要求を行うと、否定的な感情が起こる、関係に緊張がもたらされる。
そんなわけで、今回のデータから教訓を読み取るならば、
- 他人の行動を変えたいとき=怒りはなるべく押さえ付け、悲しみや恥ずかしさなどを全面に出して、相手の共感を誘う
- 他人から行動を変えるように指摘されたとき=怒りを読み取ると事態が悪化するので、できるだけ相手の悲しみと恥ずかしさにフォーカスする。相手から怒りしか感じられない時は、とりあえず「時間をくれ」と言ってその場を離脱するか、「言いたいことはわかる。だけどそのような言い方を受け入れるのは難しい」と正直に話す
といった感じになりましょう。怒りの感情は正しく使うのが難しいですなぁ…‥。