ソフトスキルを訓練したら企業の収益率が250%になったぞ!みたいな実験の話
「これからの成功にはソフトスキルが大事!」みたいな話をよく耳にするようになりました。ソフトスキルってのは統計とか語学のようにある程度まで数値で測れる能力ではなく、
- 聞き上手
- 問題解決が上手い
- チームワークが得意
といった定性的な能力を意味しております。もちろん、こういった能力はいつの世でも大事だったんですけど、近ごろは仕事が複雑化したせいでハードスキルだけだと生産性が上がりづらくなってまして、あらためてソフトスキルの大事さが浮き上がってきた感じっすね。
それでは、実際に「ソフトスキルが高まるとどれぐらい生産性は上がるのか?」を調べたデータ(R)が出てて良い感じでした。
これはインドのバンガロールにある5つの衣料品工場で行われたRCTで、約2,700人の女性従業員を対象にしてます。実験では全体を2つに分けて、
- ソフトスキルを学ぶグループ
- これまでと同じように働く
って感じで約 11 ヶ月間の違いを見てます。「これからの時代に必要なソフトスキルってなんなの?」って問題については、まだ専門家のあいだで意見の一致があるわけじゃないんですけど、ここでは「P.A.C.E.」ってプログラムが採用されてまして、
- コミュニケーション
- 時間管理
- ファイナンシャル・リテラシー
- タスクの実行力
- 問題解決スキル
などを中心に教える内容だったらしい。異論もありましょうが、たいていのソフトスキル研究に含まれるラインナップじゃないでそうか。
トレーニングは週に約 2 時間ずつで、プログラムの実施前、実施中、実施後 9 ヶ月間のタイミングで調査をしまして、
- どれぐらい生産性が上がったか?(縫製作業の回数などで測定)
- 仕事の行動はどれぐらい改善したか?(出勤や遅刻などの回数で測定)
ってあたりをチェックしたところ、結果はこんな感じになりました。
- 研修を受けた労働者は……
- 何も受けなかった人より約7%ポイント生産性が高くなった
- 複雑な仕事を任される可能性も高くなった
- プログラム終了後から9ヶ月後でもプログラムの良い影響は続いた
- より多く働くようになった(対照労働者よりも約6日多い)
- 研修を受けた人と働くと、研修を受けていない人の生産性も上がった
というわけで、最終的には本人の生産性とモチベーションが高まり、そのメリットはトレーニングが終わっても続き、さらに研修を受けてない人にまでメリットが波及するという、実に良いことだらけな結果になっております。こりゃいいですねぇ。
ちなみに、チームがざっくりとした計算をしたところ、
- P.A.C.E.トレーニングに会社が投資した場合の収益率は、トレーニングの9ヶ月後には250%近くになる
ってな結果だったそうで、どえらい数値になってますね。具体的には、コストはプログラム開始から 11 カ月後に 90,285 ドルで安定したのに対して、利益にほうは 20 カ月後まで 321,145 ドルまで増加し続けたらしい。ソフトスキルすごい……。
まぁ私もたいがいコミュニケーション能力がない人間なので、人様に「ソフトスキルを鍛えよう!」とも言いづらいんですけど(笑、とりあえずトレーニングを意識しとくのが良さそうっすね。企業の方におかれましても、従業員のソフトスキルトレーニングに気を配るのもいいかもしれません。