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今週末の小ネタ:瞑想の習慣化、スマホと恋愛、心肺機能とメンタル

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

       

 

 

瞑想が習慣化しない……なら音楽と自然音がいいかも?

マインドフルネスがメンタルにいいってデータは多いものの、よく言われてきたのが「離脱率高いよねー」みたいな問題です。やっぱ呼吸とか思考に意識を向け続けるのって退屈なんで、瞑想を習慣化するのってホント大変ですからねえ。

 

 

というわけで、新たな研究(R)では「自然音みたいな外部刺激に集中する瞑想ならもっといいのでは?」みたいな話になってて参考になりました。

 

 

これは79人の男女を8週間のマインドフルネス・トレーニング・プログラムに参加してもらった試験で、

 

  1. 音楽
  2. 自然音
  3. 呼吸

 

のいずれかに意識を注目するタイプの瞑想を指示して、それぞれの効果を比べたらしい。プログラムの有効性はFFMQ(定番のマインドフルネス質問票)でチェックしていて、これに加えて不安や注意力のレベルも調べたとのこと。

 

 

で、以下に結果です。

 

  • 注意力の向上については、どのやり方でも違いはなかった
  • 音楽と自然音に集中したグループは抑うつ症状と不安症状の減少が見られたが、呼吸に焦点を当てたグループには同じ変化が見られなかった
  • 音楽と自然のグループは、参加率が高かった

 

というわけで、研究チームの推測どおり、音楽と自然に意識を向けたグループは離脱率が高く、メンタルの改善も大きかったらしい。呼吸瞑想でメンタル改善の効果が出てないのが謎ですが、たんに練習時間が少なかったのかもしんないっすね。

 

 

もちろんまだサンプル数は少ない実験なんだけど、「どうも瞑想が習慣化しないなー」って方は、音楽や自然音に意識を向けるタイプの瞑想に取り組むのもいいかもしれませんね。

 

 

 

スマホばっか使ってると恋愛が終わるかもだ!みたいな話

「スマホ利用度と恋愛」について調べたデータ(R)が出ておりました。こちらは433人の男女を対象にしてて、

 

  • 1日にどのようにスマートフォンを使用しているか?
  • スマートフォンが使えない状況で不安になったりしないか?

 

といったポイントをチェックし、さらにみんなの恋愛の満足度を調べたんだそうな。すると、スマホの利用レベルと恋愛の満足度には相関がありまして、

 

  • スマートフォン依存度が高い若年層は、愛情のあるコミュニケーションが少なく、恋愛関係の満足度が低い傾向があった

 

  • ただし、スマートフォンの利用率が高い被験者ほど、恋愛相手とのコミュニケーションが多い傾向もあった

 

みたいな結果だったらしい。要するに、スマホの利用が悪いわけではなく、依存性の影響を取り除いた場合は、パートナーとのコミュニケーションを促進するのに役立つんだ、と。

 

 

ただし、これが「スマホがないと不安」ってレベルまで進むと話が逆転。急に恋愛相手との関係性が悪くなっちゃうかもしれないわけっすね。

 

 

この研究では「なんでスマホ依存だと恋愛関係が悪化するの?」って理由ははっきりしてなくて、

 

  • スマートフォンへの依存がストレスの増大につながってるのでは?
  • スマホのストレスのせいで人間関係が悪化するのでは?

 

といった推測が述べられておりました。まぁ依存まで進んじゃったら、どんなもんでも人間関係には悪そうですもんね。

 

 

 

心肺機能の高さはメンタルの健康に役立つのか?

運動がメンタルに良いのは当たり前なんだけど、新たに「心肺機能の向上はメンタル改善に役立ってるのか?」を調べたデータ(R)が出ておりました。運動で心が元気になるってデータは多いけど、心肺機能はそこに関わってるのかどうかって問題ですね。

 

 

これはスウェーデンで行われた調査で、平均年齢41歳の男女36,595人に実施された健康診断のデータを分析したもの。アンケートでは、

 

  • 過去30日のあいだに、週に何回ぐらい運動をしたか?
  • 「心配事、落ち込み、不安」をどれぐらい経験したか?
  • 心肺機能はどれぐらいあるか?

 

ってところをチェックして、それぞれの相関を見ております。

 

 

すると、結果はこんな感じになりました。

 

  • より頻繁に運動する人ほどメンタルが健康で、少なくとも週に1~2回は運動をしていると報告した回答者はうつ病や不安の症状を報告する可能性が低かった(これはいつも通りの結果ですな)

 

  • メンタルヘルスの改善に関しては、心肺体力はそれほど重要ではないっぽい。ただし、心肺機能がとても低い人と高い人を比べたときだけ、心肺体力が影響する可能性がある

 

意外にも心肺機能そのものはメンタルヘルスと相関しなかったらしい。そんなもんなんですねぇ。

 

 

チームいわく、

 

総合すると、一般的なメンタルヘルス症状を予防するために高い心肺機能は必要ないかもしれない。むしろ、なんらかの構造化された運動へ定期的な参加するほうが重要かもしれない。

 

ってことで、とにかく決まった内容の運動を定期的に行うのがメンタルには大事なのだ、と。まぁ心肺機能は長生きのためには欠かせないので、キツ目の運動も決して無駄ではないのですが、メンタルの改善を狙うなら週に1〜2回のゆるい運動でもいいのかもですね〜。

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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